第15話 大切な順番

 一生懸命に書いた小説がちっとも読まれなかったら哀しいよね。そんな時って、なんとかして読まれる方法を探すんだと思う。その考えはとても大事だけれども、同時に大切な順番を間違えてはいけないと思うんだ。

 以前の仕事上の経験からいうとね、たとえば資金力にものを言わせてマーケティングと共に多方面に大量に広告を打ちまくっても、商品そのものがダメなら、決して売れない。化粧品でも飲食店でもタレントでもドラマでも、それはみんな同じ。

 一過性の作為的な人気は得ることができても、すぐに波が引いて、全く割に合わない。

 サクラで行列を作ってメディアが取材にきても、商品が顧客を満足させなかったらすぐに閑古鳥が鳴いちゃうでしょ? すごい人脈を持つオーナーが店を開いたりして、芸能人はじめ大勢の知り合いで賑わっても同じ。

 その影で、マーケティングや広告なんて縁のない親父さんがひっそりとやってる店が、何十年も確実に顧客を掴み続けてる。

 理由は「商品が良いから」ただそれだけ。どんなジャンルでもいつの時代も、それは決して変わらない。

 カクヨムもSNS化の側面があって、宣伝や仲間を増やす事に労力を費やしたりするのかもしれないけれど、大切なのはやっぱり読者を満足させる作品を書く事だね。

 SNS依存みたいに何かしらの反応がないと不安で、うっとしがられるかなって思いつつ、イイネほしさに無駄な発信とかしちゃったりするのってバカバカしいじゃんね。

 順番が逆になっちゃったら、小説を本気で真摯に書きたいと思ってれば思ってるほど、自分の首をしめちゃう。ただただ徒労感だけが増していって心を病んじゃったりね。

 大丈夫、じっくりと真剣に向き合って書かれた中身のある小説は、読んだ人はきっとわかってくれてるよ。今は読者は少なくてもね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る