第13話
異世界生活3日目の朝。ミアがゴソゴソと起き始めたので目が冷めた。携帯電話を見ると時刻は5時。
「あら、起こしちゃった?昨晩は凄く良かったよ?また宜しくね。朝御飯の準備しなきゃ行けないからもう行くね」
ミアは周りを気にして小声で俺の耳元で囁いて、頬にキスをしてくれた。その耳に当たる息がくすぐったく、なんだか元気になってしまったので手を引いて押し倒して…まぁ昨日と一緒でソラとポムも起きてしまったので一通りするっきゃないっしょ!
その後ポムとソラと一緒にベットでまどろみながら、昨日買った魔法書を開いて中を見てみる。そこには左側のページには呪文の様なものが2行で書かれている。右側にはびっちり文字が書いてある。読めないや…。
文字を読むには翻訳眼鏡でもあるんかね?マジで異世界転移特典でチートスキルとか異世界言語理解できるスキルとか欲しいっすわ神様!不便ですって!
ポムとソラに読めるか聞いて見ると、どうやら読めないみたいだ。この世界は識字率が低いのかな?と思ったのだが、どうやらここの奴隷は帝国生まれでは無いので帝国文字は読めないらしい。朝飯の時にでも読める人を探して聞いてみよう。ボスくらいかな?
この魔法さえあれば植物採集が、はかどると思うんだよね。ただ魔石をどれくらい消費するのかにもよるけどね。
「なあソラ、皆んなは最大で何キロ担ぐ事が出来る?」
「担ぐだけなら100キロは余裕で大丈夫じゃないか?ただ、そんな大きなカバンが有ればだけどな?」
「そうだよな……あ!背負子って知ってる?袋になってるんじゃなくて、金次郎タイプの背負って上にドンドン積み重ねて乗せれるやつ」
「金次郎?は知らないけど、それなら商人ギルドにレンタルがあるですよ。あれって何に使うですか?」
「ん?背負って物を運ぶ道具なんだけど、見たことない?」
「私も見たことないな…便利なものなのか?カバンのように袋になっていないのだぞ?」
「そうなのね。後で実際に見てから説明するよ。それよりもソロソロ飯だろ?食堂へ行こうぜ」
こちらの人間は、何故か深く考えない人が多いのかな?見たことはあるけど何に使うかは分からない。とか、ダンジョン内でも、薬草なり、毒消し草なり、芋なりを、きっと見てはいるのだけど採取しようとはしない。とても不思議だ。
そんな事を考えているとミアが食事が出来たと呼びに来たので皆んなで移動する。
既にボスは椅子に座っているので挨拶をする。そして背負子の事について聞いてみる。
「あぁ、良い所に目をつけたな?アレはレンタルだが、かなり安かったと思ったけどな?確か1日50ガルド位だな。あれなら大量に肉を運べるようになるな?ガッハッハ」
「何か楽しそうだね?良い事あったのかな?教えてほしいかな?」
と言ってラミ、フィン、アキが食堂に入ってきた。
「皆んなは背負子って知ってる?カバンの様に袋になってるんじゃなくて、ただ背中と底だけのある…何て言うんだろうか…まぁそんな感じの背負うやつ」
「あー見たことあるぜ!確か商人ギルドにレンタルが有ったんじゃないか?あれ、何に使うんだ?」
ここでもか…
「ほら、アレだと袋の大きさを気にしないで、ドンドン乗せて行けるだろ?だから大量に肉などを持って帰って来れるって訳さ!」
「わあ、そう言うことですか。流石ユータさんは何でも知っていますね」
「何でもじゃないんだけどね…それよりも皆んなは何キロまで背負える自信がある?」
「アタイは多分150キロは大丈夫だぜ!」
「ウチは200キロ位かな?ウォリアーだからね?」
「アタシも多分200キロです。もっと行けるかもしれませんが」
「ボクは多分300キロ。力持ちの種族ドワーフなのですよ」
ポムが300キロ??!嘘だろ?1番小さいのに1番背負えるのか?異世界スゲー!
「私は150キロくらいかな?済まないな…中衛は力の伸びがイマイチなんだ」
何それ、ステータス的なアレの話?聞いてないんですけど?まだまだ知らない事が一杯だ。
「それはどういう事?近接だと力が増えるとか?何か能力が上がるの?」
「あぁ、裕太は知らないのか。種族やジョブによって伸びる能力、伸びやすくなる能力が異なるんだ。鑑定では能力までは見えないけどな!一応ダンジョンギルドで確認する事が出来るぞ?10ガルドだけどな」
安い!速攻調べたいんですけど?それこそ厨ニ心がウズイちゃって!
「そういえばこの魔法書読める人いる?ボスなら読めますか?」
「そりゃあ読めるぞ!どれ見せてみ?ふむふむ、なるほどな〜!ほうほう、へ〜そうだったのか」
「オイボス!気になる読み方すんなよ!なんて書いてあるんだ?」
「あぁ悪い悪い!嫌なに、右側には、魔法とはイメージが全てで、呪文なんてモンはイメージしやすくするための文言みたいなもんだと書いてある。コッチの左側の2行は例文になっていて、こんな感じで唱えると出来易いみたいだな!風の刃となり、触れるもの全てを切り裂け。だってよ!」
「は?って事は別にイメージさえ出来ればどんな魔法でも使えてしまうって事っすか?魔法書要らないじゃんか!」
「まあココにはそう書いてあるがな?これが分かっただけでも銀貨50枚の価値はあるな!でも俺は使った事無いから知らんぞ!ガッハッハ」
あの案内人め!だからニヤニヤ上から目線で話してやがったのか!嫌なやつだぜ!
「どういう事かな?言っている意味が分からないよ?」
「あぁラミ。要はこの天井の明かりあるでしょ?これを頭でイメージさえ出来れば昨日ポムがやった魔石での明かりが、呪文無しでも、もしくは適当に唱えても点けることが出来るってことさ」
「流石ユータさんですね!何でも出来てしまうじゃないですか!」
「イヤイヤ!まだ何も出来ていないぞ?出来る保証も無いしな?過大評価しないでね?」
「ユータ君には何故か期待しちゃいますですよ、何かやってくれるんじゃないかって目が離せなくなるですよ」
「だな!裕太!俺でさえお前には何だかワクワクさせられているんだぜ?流石は価値が金貨で3000枚なだけは有ると思っているぞ!何か偉大な事を成し遂げるんじゃないかとさえ思わせる何かがあるぜ」
皆んなも、そうだそうだと言ってくれている。なんだか照れるけど、悪い気はしないよね。それに俺もさっき思っていたこちらの人間との価値観の違いが、きっと俺の強みになるんだと思う。
「まぁそれ位にしてくれ!それよりもソラ、今日の予定に、朝一番で商人ギルドに行くって付け加えておいてくれよな?」
「あぁ分かった。それではそろそろ準備をして向かおうか」
「あぁ、待てよ裕太!お前とフィンラミはしばらくはギルド地帯には近づくなって言ったの忘れたのか?魔法ギルドの奴らに見つかったら、面倒臭い事になるかもしれねーんだぞ?」
「あぁそうか…完全に忘れてたわ…それこそ面倒臭せーな…ソラ達に任せても良いか?なるべく丈夫そうな背負子を借りてきてくれ」
そう言ってソラ達と別れて俺等は少し遠回りしながら待ち合わせの門の前に向かう。
「帰りにダンジョンギルドで能力と、植物ダンジョンの情報を聞こうと思ってたんだけどな、まあ慌てなくてもよいか!1週間位でほとぼりも冷めるかな?」
「どうだろうね?捕まっちゃったら嫌だよ?ウチも一緒に捕まってあげるからね?」
「ラミだけズリーぞ!アタイだって一緒に捕まるんだからな?そうだろユータ?」
何に張り合っているんだか分からないのだが…フィンらしいというかなんというか…アホな子…なんだな。
そんな事を話しながら待つこと数分。ソラ達が背負子を3つ背負い、3つ手に持ってこちらに歩いて来るのが見えた。
「お待たせー。6つ借りれたよ。耐荷重は200キロみたいだぞ。それでも6つで1200キロだ。満載で金貨12枚だな」
「それは違うぞソラ。今日はヒレとロースも取るからな?単価が違うのだよ!単価が!しかもそれプラス、薬草と毒消し草も探すからな?目標はボア20匹、金貨で60枚だ!」
「そんなに?!それって一人頭幾らになるんだ?もうアタイじゃ分からないぜ。ギャハハ」
「全くフィンはアホな子ね?一人頭、金貨10枚だよ?」
普通に考えたら金貨10枚は凄い額なんだろうけどな。俺の返済額だと全然足りないんだけど、なんだか別に慌てなくても良い気がしてきている。
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