第11話
皆んなが解放されるまでに俺はもっと稼げる方法を探してやるぜ。ダンジョンでの寝泊まりも想定して稼ぐのが良さそうだ。こりゃーめっちゃ楽しみだ!ワハハハー!
「ユータ君が壊れたですよ。ブツブツ言ってニヤニヤしてるです。怖いですよ…」
「ん?俺何か言ってた?言ってないよね?ヤダ…恥ずかしい……」
「それよりもユータ。錬金ギルドでの売り上げは全てユータの返済金に当ててもらって良いぞ?ユータの実力なんだからな?」
「そうだよユータ?ソラの言うとおりだよ?ウチ達はボア関係をもらうから。ね?」
「ソラにラミ。それは違うぞ!皆んなもだが良く聞いてくれ!俺達はパーティーだ!皆んなが居るから俺は安全に草を採取出来たんだぜ?だからこれは皆んなで稼いたお金という事だろう?ただ、明日以降の魔石だけは俺に全部くれない?」
「ユータさんがそう言うなら…有り難く頂きます!どうせ将来は一緒になるんですからね!お財布も一緒ですね!」
何か違う方向に話しは進んでいくのだが、まあそういうこってす。俺達は錬金ギルドを出て娼館に戻る前に俺だけ別の場所で確認をしたいことがあると言って皆んなと離れる。
俺は鍛治ギルドの扉をくぐり、カウンターへと足を運ぶ。挨拶をして、カバンから黒い石を出して確認する。
「石炭なんすけどキロ幾らで買い取ってもらえるんですか?」
「石炭ですね?キロ1000ガルドですね。石炭は幾らでも買い取りますよ。ちなみにこの石炭は鉱山から取ってきたものですか?」
「いえ、近くのダンジョンで偶々拾ったんす。知り合いに聞いたら石炭だって教えてくれたんで持ってきたんす」
「なるほど、そういうことですか。今回のは買い取りで?」
「いえ、また拾うかもなんで、まとめて持ってきますよ」
そう言って挨拶をしてから娼館に戻る。まずは井戸で身体をサッと洗ってから肉を売ることにする。先に戻った皆んなが売っている横で、俺はボスから借りた七厘で、ロースとヒレを焼いて並んでいる客に試食をさせていく。
「何だこの肉は!メチャクチャ柔らかいが旨味が凄いな!」
「なんて美味しさなの?こんなお肉食べたことないわ!」
と大好評だ!
「ちょっと値段は高くなるけど明日からはこっちの肉も売るからね〜!買っておくれよ〜!今日は試食が有るから食べて見てくれよ〜」
「マジでこれ美味いな!アタイはこっちの肉の方が好きだぜ!なぜ今迄食べてこなかったんだ!」
「ウチもコッチがスキかな?」
歯応え派も、一口でヒレと背ロースの虜となってしまったようだ。当然だろう!
「裕太、お前商売上手いな!大したもんだ!それを配った後でも良いから、話しがあるから来てくれ」
「了解!もうすぐ終わるからすぐに行きます」
半分くらいはパーティーメンバーに喰われてしまった試食を終わらせ、ボスの所に行く。
「おう、来たか!ちょっとお前のレベルが気になってな。今日だけで15になってるぞ!ダンジョンでどんなことをしてきたんだ?」
「どんなことって言われてもなあ…道中やパーティー戦闘中に、草、石、芋の採取や情報を読んだり、ボアの解体をしてただけっすけどね」
「そんで初日に一人頭44000ガルドも稼いだのか?肉で2500、毛皮で1500、草で40000も稼いだって言うのか?」
「ああ、間違いないよ。ソラ曰く、ナイトポーションの原料と、後は薬草、毒消し草を中心に取ってきたんだ」
「ナイトポーション!精力増強剤じゃねーか!うちの娼館でも取り扱ってるぜ!そうか…それでか…良い値段なわけだ」
「今日はお試しみたいな物だったけど、明日は肉ももっと持って帰って来れるだろうからもっと稼ぐぜ!まぁ皆んなの分を稼いで解放されたら俺一人で日本への帰り方を探しながら気軽に稼ぐさ」
「そうか…そう言や、日本ってのはどのへんの国なんだ?俺は聞いたことが無いんだけどな?」
「言ってもわからないと思うんだけど、この星では無いんだ。違う惑星から何故か転移してこの惑星に来ちゃったみたいなんだよ」
「惑星ってのは何なんだ?なんかそんなことを言ってたよな。転移ってのはアレだろ?一瞬でワープ出来る魔法陣の様な…」
「ボス!知ってんのか!?転移が何なのか教えてくれよ!!」
俺は娼館中に響き渡る程の大声でボスを問い質す。
俺の大きな声に反応してパーティーメンバーも集まってしまった。
「ユータのデカイ声が聞こえたけどどうした?ハゲオヤジにでも売られそうになったか?ギャハハ」
「フィン?そういう冗談は面白くないよ?」
「いや、何でもないんだ…ちょっとボスの話しに興奮しちまってさ。悪かったな」
「どんな話だったか興味深いかもです。ボク達も聞いていっちゃダメなのかな?」
「まあ、ハッキリ言って俺は大した事は知らねーけどな。裕太は日本と言う国から転移してきちまったんだと。そんでオメェ等の借金が返済満了したら一人で日本に帰る方法を探すって言うもんだからな、転移っつーのは魔法陣であんだろ?ワープするやつがよ」
「なるほどですね。ユータさんは私達を置いて何処かへ行ってしまうと…そういう話ですね?」
「ん?そういう話なの?俺は自分の生まれ故郷には帰りたいなってことなんだけど…結果そうなっちゃう?」
「ユータ?ウチ達を捨てるってことなの?ヤダよ?ウチはずーっとユータと一緒に居たいよ?」
ラミにそう聞かれて俺は不思議な感覚を味わう。……そう言われてみると俺は本当に日本に帰りたいのか…?この2日間で早くもこの星に大事な人たちが出来ちまった気がするのは気のせいか?これはもしやサバイバーの特性効果か?
「離れたくないよ…ラミとも、それに皆んなとも離れたくない!ただ、故郷に帰る方法だけは調べて置きたいんだ」
「そうか…それなら俺も少しは協力してやろうかね。それにワープの魔法陣なら魔法ギルドで聞くのが1番早いだろうな。明日の狩りの帰りにでも寄って来て良いぞ!」
「ボス…有り難う!明日の帰りに寄ってきます」
「おう、そうしてみろ。んじゃあ夕飯にするぞ!移動だ移動だ!」
ボスに促されて皆んなで食堂へと行く。左右の腕にはラミとフィンがくっ付いている。
「何処かに行くにしても置いて行かないでね?いつでも一緒だからね?ね?」
「そうだぞユータ!アタイらを置いて行こうだなんてヒデぇ野郎だな?わかってんのかこの野郎?」
「あぁ、有難うな。愛してるぜ!」
そう言って二人の頭をナデナデする。
「ふに〜これスキ〜」
「ババ、バカヤロウ!恥ずかしいことしてんじゃねーよ!…でもまたやってもいいんだぜ…?てかもう一度やっても良いんだぜ!」
フィンは猫耳を倒して撫でやすい様にしてくれている。どうやら気に入ってくれたようだ。だがココは一旦お預け!安売りはしないように注意しよう!
「また後でな!」
「む〜〜!」
テーブルには既に食事が用意せれているので、俺等は椅子に腰掛けて食事を始める。
「ミア、調味料って塩以外だと何があるの?」
「塩以外?むしろ塩以外に何か必要かい?塩があれば何でも食べれるだろ?」
「「「うん、うん」」」と、皆んなも頷いている。
マジかこの世界!マジで言っているのか?俺はとんでもない世界に来てしまったのか?自力で作るにしても味噌、醤油は素人では無理だろう。確か麹菌が必要になるんだったと思う。全く知識がない。そうなると出汁ならできるのか?
「皆んなは出汁って聞いたことあるか?鍋を火にかけて食材から旨味を取り出すやり方なんだが」
「「「「知らなーい」」」」
く……
「じゃあ砂糖は?甘ーい砂糖だぞ?コレなら流石に知っているだろ?」
「甘ーいって何?どんな食べ物なの?聞いたことないよ?」
「トウキビ、
「聞いた事は無いけど、植物のダンジョンが何箇所かあるけどね、行ってみるか?私達は今日だけで10日分は稼がせてもらったからね。2〜3日は全然付き合うぞ?」
「行ってみたい!近いうちに行こうぜ!そういえば何処のダンジョンで何が取れるか情報はないもんなのか?」
「ダンジョンギルドに行けばあるですよ。有料なら挿絵付きで載っている物も売られてるです」
「!!それだ!ボス!金を貸してくれ!」
「お、お、おう!分かった!銀貨5枚で足りるだろう。明日の朝用意しておいてやるよ」
そう言って食事は終わり、解散となり自分の部屋に戻ってきた。何故か俺の部屋に全員集まってベットの上でくつろいでいる。
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