第5話 アリタとアリダは、違います。和歌山や熊本に、怒られそうな予感。良い予感な、いよかん。愛媛のタルトには、感謝しましょう。

 「私、レベチでしたかね、チカ?」

 「え?」

 「アリタミカンじゃ、ないの?」

 「違うよ」

 「アリタヤキって、いうじゃん?」

 「…?」

 「うん。ほら、伊万里焼きとか、唐津焼きとか、備前焼き、常滑焼きとかの、あの、有田焼き」

 「ああ」

 「だから、アリタミカン…」

 「…それ、県が、違うよ?」

 「そうだっけ?」

 「くりいむしちゅーって、アリタじゃなくって、アリダだったのか」

 「いや、そこは、アリタで良いらしい」

 「熊本に、怒られそう」

 「だから、うちら東京は、バカにされちゃうんだよ」

 「今話題の、なりすましかな?」

 「受験勉強、してる?」

 「まだ」

 「チカは、良いお母さんになるよ」

 「…ミカン、美味しかったね?」

 「うん」

 「カイジャリスイギョって、何だろう?」

 「手が、黄色くなってきた」

 「あ?」

 「何?」

 「うわさをすれば、ホタルイカが、やってきたよ?」

 「ホントだ!」

 「…君たち!」

 「きた」

 「やば」

 「なりすましかな?」

 「いや、本人でしょ」

 「こら!」

 「あ、怒った」

 「…うるせえなあ」

 「ダメだよ。JKが、そういう言葉を、使っちゃあ」

 「JKども!ミカンを、かたずけなさい!手を、洗ってきなさい!」

 「やば。ホタルイカが、光った!」

 …こういう高校って、あるのかなあ?

 「ミカンの、気持ち…」

 「どした、タマラ?」

 「良い予感な、いよかん!」

 「いよかん?」

 「ハヤナちゃんの親戚に、愛媛の子が、いたよね?」

 「いたね」

 「ああ。うちの親戚の、…妹でしょ?」

 「送ってもらったタルト、美味しかった」

 「私も、食べた」

 「私も」

 「愛媛は、タルトで有名」

 「愛媛の媛と、姫路の姫は、同じ、お姫様のヒメ。なんだけれど、姫の種類が、違うんだよ?」

 「なりすまし、か!」

 「…違うよ」

 クラス担任の顔が、赤くなってきた。

 「君たち、黙りなさい!」

 心をコントロールできなくなってきていたクラス担任のホタルイカは、泣いた。叫びながら、教室から、進路指導室に、駆けていった。

 JKたちの、勝ち。

 「でさあ…?」

 「何、チカちゃん?」

 「こういうミカンって、あるでしょ?」

 チカが、紙に、温州ミカンと書いた。

 「これ、何と読むでしょう?」

 「え、オンシュウミカンでしょ?」

 「オンシュウミカン」

 「うん。オンシュウミカン」

 「残念でした!」

 「え?」

「正解は、何なの?」

 「次回の、お楽しみ!」





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