2-2
王国を
「女王陛下は、昨日の一件でジェラルド殿のことをたいそう気に入って、
話を聞いただけでも気難しそうな女王だ。ジゼルは嬉しい反面、不安が
というのも自分の場合、油絵を一枚仕上げるには半年から一年はかかる。
なので、
ジゼルの乱れる胸の内に気づいたのか、カヴァネルは
「
ジゼルはその提案にぱああと表情を
リーズリー家といえば、代々王家に仕える家臣の中でも主席の
油絵は特にお金がかかるため、描き続けるための資金援助は必要不可欠。有力貴族から
「やってみます!」
「ではジェラルド殿は女王陛下を、ローガンはボラボラ商会の動向を探ってください。
ローガンは
「絵画好きの女王にうまく取り入ったつもりなんだろう。けど、悪い噂があちこちから聞こえてくる業者に、これ以上王宮で大きな顔をさせるわけにはいかないからな」
ボラボラ商会の話になって、ジゼルの
「そんなわけで、筆頭から恨まれているであろうチビ助は、すぐさま王宮に
「えっ!?」
満面の
ちょっと待ってと
「安全面を
「
「では、私のほうで部屋を手配します。ひとまず相部屋になりますが、男性用の宿舎を使いましょう。正式に手はずが整ったら──」
説明を聞くや
……男性と相部屋は、非常にまずい。
ジゼルの必死な空気を楽しむように目元をニヤつかせたローガンは、今度は意地の悪い笑みを口元に
「カヴァネル、チビ助はなにがなんでも俺と
(ちょ、ちょっとなんか違うけど……!)
助けを求めたのを
「……そういうわけにはいきませんよ。女王陛下が
「いや、大丈夫だ。俺たちにも色々と、複雑な、事情があるんだよ。な!」
ジゼルの肩に手を置き、一言一言
「えっ……まさか、ローガン……」
「いえ……言われてみればローガンは見合いもずっと
ぶつぶつ言い終わると、カヴァネルは知性の
「お二人がそのような仲になったとは、さぞかし言いにくかったでしょうね。でも、私には教えてくれても良かったんですが」
ローガンは、カヴァネルが自分たちの関係をあらぬ方向に誤解をしたことを読み取った。
「おい待て。カヴァネル、なんか違うぞ……!」
「いいでしょう。一緒の部屋で
「カヴァネル、人の話を聞──」
「ふふふ……ローガンの愛はとても重たそうですね」
「だから、ちが……はぁー……まぁもういい」
説明するのが
「ああ、ジェラルド殿。こう見えてローガンは
「はいっ……ん? 恋人って──」
「こう見えては余計だ。行くぞチビ助」
ローガンはジゼルを引っ張って
乱暴に出て行ったローガンの後ろ姿に、カヴァネルはふうと一息つく。
「これで真相を
作りかけていた書類に目を通し、カヴァネルは
一方、ローガンはジゼルの腕を摑んだまま一言もしゃべらず自室に
「えっと……? ローガン、『恋人』ってどういうこと?」
「そのままの意味だ。俺が男性趣味で、お前が恋人だと
部屋を一緒にしろだなんて誤解されてもおかしくない、と説明されてジゼルはぎょっとした。
「なっ!! ローガンと部屋を一緒にしてほしかったんじゃないよ!」
やっと意味を理解したジゼルは慌てたが、ローガンは少し考えたあとにニヤッと笑った。
「心配しなくても、
「言い方に悪意しかない!」
「カヴァネルに誤解されたのは
色々と怒りたい気分だ。しかし、
「たしかに、私の正体を知ってるローガンが同室のほうがいいのかも……さっきはかばってくれてありがとう」
考え直して
「……お前、『恋人』ってどういう意味かわかってんのか?」
「うーん。恋人いたことないから、正直なところ、全然わかんない」
あまりの危機感のなさに、ふいにローガンに
しかしジゼルはすっとローガンと
「偽称がバレないなら、ひとまず『恋人』設定は
「
ローガンはニコニコしているジゼルを
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