2-3
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ローガンの部屋は一人用とは思えないほど広く、ただの従者にしては
ジゼルは今日から一緒に過ごすことになったローガンの部屋で、せっせと荷ほどきをしていた。
絵画の道具を片付けていると、扉がノックされてカヴァネルが入ってくる。
「お待たせしました。手続きが終わりましたから、今日からジェラルド殿は宮廷画家としてこちらの部屋で
差し出された書類にジゼルはさらりと左手でサインを走らせ、「ありがとうございます!」と満面の笑みで返した。
宮廷画家は、画家を目指す人間にとっての
「ところでローガン。あなた、
ジゼルの家に付き合って荷物運びと片付けを手伝ってくれていたローガンは、持っていた箱を落としかけた。
「まずいっ! あの人、
ローガンは置いてあった
「えっ!? 窓って出入り口だっけ? というか、ここ二階!」
ジゼルが慌てて窓から下を見ると、なんの問題もなさそうに駆け去っていくローガンの姿が見えた。
「……ローガンの身体能力って、どうなって……?」
開いた口が
「彼はこの国の騎士たちにも負けませんよ。騎士団長と仲が
「そうなんですね。それもローガンの仕事ですか?」
「ええ。主に、私の
おかげで贋作とわかり王宮の
「……彼は、最近まで
従者だというのに、カヴァネルの
その説明から察するに、ローガンは貴族の出ではないようだ。なのに、カヴァネルとローガンはどうして知り合いなのだろう。
「……ところで。ジェラルド殿は、なぜローガンとお付き合いをすることに?」
カヴァネルは鋭いから気をつけるように言われていたのを思い出し、探りを入れられている!? とジゼルの背中から
「えっと……、ひ……一目ぼれしてしまいました!!」
「まあ、彼は、見た目はずば
ジゼルは疑われないよう、こくこくと頷きながら
「すごく優しいですし、気が
「さすが画家、
「……ローガンの表立った態度が悪すぎるだけです、絶対」
「では明日の朝から、女王陛下の元で宮廷画家としての仕事が始まります。なにか必要なものがあれば、なんなりとおっしゃってくださいね」
女王に張りつき、事件の不審な点を探す期限は、絵画を完成させる四カ月後の交流会まで──。
先行き不安だったが、ジゼルはやるしかないと頷いた。
夜に近い時間。ジゼルは一向に帰ってこない部屋の
「窓は出入り口じゃないと思うんだけど……」
「近道だし、廊下にいる衛兵に俺が外出したって知られないから都合がいいんだよ」
「だからって危な──って、ちょ、ちょっと待って!」
ジゼルは小さく悲鳴を上げた。立ち上がっていきなり
「ローガンっ! 着替えるならそう言ってよ!」
「……はぁ? 言うもなにも、俺の部屋だ」
慌てふためくジゼルを見ると、恋人ならこれくらいへっちゃらだろ? と意地悪そうに笑って近寄り、ちょんとジゼルの鼻先をつついてきた。
均整の取れた美しい上半身の
「『恋人』設定を
「人前ではの話だってば……それに私の中の『恋人』となんか違いすぎる!!」
「あーはいはい。ジゼルはとんでもないお子様だったな」
たまらず部屋の
「べ、別に、男の人と一緒の部屋とかへっちゃらだし! 大丈夫……だよねっ!?」
兄弟もいるのだから男の人の
──思えば、昨日からずっと
一息つこうとソファーにへたり込むと、ふかふかの
(あぁ、……明日から頑張らなくちゃ)
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