第19話
ユーリヤの対応について答えが出ないまま、シャトルは暗黒の空間を抜けた。無事で抜けられるとは思っていなかったが、五体満足であることに皆胸をなで下ろした。
充電を終えたユーリヤも起動して、シャトルは現在メイケーラの核部分に着陸している。
メイケーラはガス惑星であり、厚いガスの層に特殊金属の地盤を浮かせてコロニーを形成しているが、コアはそのガスが固体化している。この更に内側に特殊な石が存在するのだとロアルが言っていた。
「そういえばユーリヤはもう体調は大丈夫なのか?」
シャトルに付属している掘削機能を駆動させる間に暇ができたので、ソーライはユーリヤに尋ねた。
「体調? 充電なら完了しているわ」
「いや、メイケーラに行けば電波の妨害がどうのって言ってたじゃん。もう何か影響してるのかなって」
「細かいノイズの送受信がなくなったわ」
ユーリヤの言葉にソーライの表情が明るくなる。
「ちゃんと遮断できてるってことかな。これで突然勝手に爆破させられることもないわけだ。よかったな!」
「……呆れたわね。爆弾自体はまだ存在しているのに、ぬか喜びが早すぎると思うわ」
「俺はひとつずつ喜びたいタイプなんだよ。あとは石を探して持って帰れば、爆弾も取り出せて任務完了だ」
ソーライは脳天気に笑ったが、シュラーはそれをちらりと
「そう簡単にはいかないようだ。表面の金属部分の掘削を試みているがまったく歯が立たない。一ミリも掘れていない」
「一ミリも⁈」
「この金属自体がこの星にしか存在しないから詳細は不明だが、標準の掘削機では無理なのかもしれない」
シュラーの言葉にユーリヤが口を開いた。
「やはり噴火口を探すべきだわ」
それから脳裏で何かを検索するかのようにしばらく黙りこむと、操縦席のパネルをおもむろに操作し始める。
表示されたのはこの星のとある一点だった。
「検索の結果、最寄りの噴火口はここ。アンドロイドである私が行けば問題は解決されるでしょう。大気中のガスも私にとっては有毒ではないし、噴火活動がなければ火口付近の気温も上昇しない」
「待てよ、ユーリヤが行くなら俺も行く。女の子だけ行かせるわけにはいかないだろ」
「ソーライ。私に性別はないのだからその発言には異議を申し立てるわ。それに仮に女性だとすれば貴方の発言は性差別とも言え——」
並べ立てられる意義を綺麗に無視して、ソーライはシュラーに向き直る。
「そういうわけでシュラー、噴火口に向かおうぜ」
「しかし……」
「一ミリも掘れない金属を削ってても無駄に時間が過ぎるだけだし、だったら少しでも可能性のある方に動くべきだろ。行って駄目だったらほかの方法を考えよう。ユーリヤ、そこの発進ボタン押して」
「了解」
ユーリヤは淡々と返事をすると目の前のスイッチに手を伸す。
「お前ら!」
シュラーの
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