2 類は友を呼ぶ?
廣樹はバイトの時はお姫様であったが普段は大学生として心理学を学んでいた。心理学を選んだのはジェンダーの問題に真っ向から向き合うためだった。心理学の視点から性同一性障害について知りたかった。ここで一点、注意を入れておくが僕は性同一性障害ではない。女として生きたいわけではなくただ、ロリータファッションが好きな男である。ただ、どうしても他人事のようには思えなかったこともまた事実なのだ。
駅から10分ほど歩いた場所にある大学は大きすぎず小さすぎずと自分の身の丈に合っていた。駅で合流した友達の春田 忍が今日も隣で駄弁っている。忍はいわゆるイケメン男子でスタイルがよく、大学内でよく注目される存在だった。しかし中身はどこにでもいるような普通の男子大学生で邪な欲望を持っていたり、授業をサボってみたり自由に生きているのだった。
「今日って小テストだろ。勉強したのか?」
「んー。テキストに目を通したくらいかな。」
忍は『俺も』と言ってニヤリと笑った。
教室の中央くらいの席に腰を下ろすと鞄からテキストを取り出した。小テストまで残り20分。少しでも成績を上げたくて最後の足掻きをしてみた。
結果は良くもなく悪くもなくといった感じだった。テキストに目を通しただけではこんなものだよなぁと忍と笑いあった。
こんな調子で僕の大学生活は進んでいく。気の合う友達がいて、それなりに勉強して、それなりに遊ぶ。これぞ大学生という生活が特別に幸せで充実していた。
「笹野 廣樹さんよね?」
そう呼ばれて顔をあげると見慣れない女の子が立っていた。
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