第12話 ダークエルフの戦士たち

 集まったダークエルフは、リーダーであるレイラを合わせて男四人女二人の計六人だった。

 その全員容姿が整っていて贅肉一つない見事な体をしている。


 耳の長さとかはエルフと殆ど変わらないけど、少し筋肉が多いかな? どれくらい強いのか今から楽しみだ。


「これで全員なんだな?」

「はい。ダークエルフの数もだいぶ減ってしまいました。なので今はエルフ達と共に生活をしております」


 さすがに六人だけで生活するのは色々と大変だ。

 エルフと過ごすのはいい選択だろう。


「じゃあ連れさられた中にダークエルフはいないんだな?」


 俺はダークエルフのレイラに尋ねる。


「はい、捕まったのは普通のエルフが十人ほど。一つの村からではなく、三つの村から数人ずつ攫われました」

「なるほど。じゃあ次はこの村が狙われる可能性が高いってわけだ」

「はい。そのため私はこの村に来て対策を立てようとしていました。そこに主人ロードがいらっしゃったというわけです」


 相手はエルフの村を複数把握していて、この森を自由に動ける力があるということだ。

 これは中々厄介そうだな。


「だが相手のアジトを掴めているのは大きい。早速王都に行くとしよう。えーと……お前たちは全員手を貸してくれるってことでいいんだよな?」


 六人のダークエルフ達に尋ねると、一斉に「もちろんです!!」と返事が返ってくる。


「なんなりとご命令ください、我らが主よ」

「ロードと共に戦える日が来るとは……感激の極みでございます……!」

「我らの命、ロードのために」


 すごい。やる気まんまんって感じだ。

 ここまで忠誠心が高いと申し訳なくなるな。失望されないように頑張らないと。


「ふふん。私は鼻が高い」


 ダークエルフ達を見ながらヨルは満足げな表情を浮かべる。


「言っておくけど、リックの最初の配下は私。そこを忘れないように」

「わ、分かりましたヨル様!」

「ふふ、いい返事。特別にリックのことを色々と教えてあげる」


 ヨルがそう言うとダークエルフ達がわっと沸く。

 なにをやっているのやら……


「リックさん! 私も連れてってください!」


 そう頼み込んできたのはリリアだった。

 正直ダークエルフが加わったことで戦力的には連れて行く必要がなくなったけど……どうするか。


「私も役に立ちたいんです! 絶対に邪魔はしないのでお願いします!」


 俺の目をまっすぐに見ながらリリアは言う。

 リリアは意外と頑固なところがある。一度決めたら迷わず突っ走る。それは欠点に見えるけど、同時に長所でもある。


「分かった。その代わり危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ?」

「はい! ありがとうございます!」


 リリアの参加を許可した俺は、リリア、ヨル、ソラ、ベル、そして六人のダークエルフを伴い王都に向かうのだった。


◇ ◇ ◇


「……まさか戻ってくることになるとはな」


 遠くに見える王都を見ながら、俺は呟く。

 正直中に入るのは気乗りしない。だけどこれもエルフを救うためだ。わがままを言う訳にはいかない。


主人ロード、どういたしますか?」

「ひとまず俺とリリアとヨルで中に入る。レイラたちは王都の外で待機していてくれ」

「かしこまりました」


 ダークエルフ達が昼に入れば目立ってしまう。

 リリアだったらフードを被せて耳を隠せばバレることはないだろう。


「ソラは服の中に隠れててくれ。ベルは……目立つからダークエルフと行動しててくれ」

「わかったー」

「くうん……」


 全員に指示を出した俺は、とうとう王都に入る決心をする。

 とっとと終わらせて、こんなところおさらばするとしよう。

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