第4話 完成
実は弓の作り方自体は俺のご先祖、アインの過去を見たことがあるのでだいたい知っている。
しかし素材が変わっているんだからそれをそのまま真似てもいい物は出来ないだろう。だから俺はリリアに教わり、俺だけの弓を作ることにした。
アインとリリア、二人に教わったことを噛み砕き、自分のものにするんだ。
「うーん、少し削りすぎたか?」
一発で完璧な物は出来ない。
何回もトライして、少しづつ理想に近づいていく。
地味だけど、楽しい。
家のこと、家族のこと、未来のこと。それら全てを忘れて目の前の木に向かい合う。思わず時間も忘れて没頭する。
日が沈み、そして昇り始めた頃ようやくそれは完成する。
「出来た……!」
俺の目の前に完成したのは、木製のシンプルな弓。
だけど形、重さ、長さ、そのどれもが俺に適した
この手に持った時のしっくりくる感じがたまらない。
「どれ、【鑑定】」
【長弓】
ランク:B+
トロルツリーを削り出して作られた長弓。
頑丈な作りになっており、長距離狙撃が可能。
「ランクはB+か。倉庫にあった武器に比べたら落ちるが、一から自分で作ったにしてはかなりいいんじゃないか?」
確か街の武具屋ではランクBの物でも結構高価だったはず。それを自分で作ることが出来たんだ。もっと練習すれば、いつかは聖剣クラスの物も作れるようになるかもしれない。
「おい、リリア。出来たぞ」
「……ふぇ?
椅子で寝息を立てていたリリアを揺すって起こす。
村に帰るよう言ったのだが、リリアはここに残って手伝ってくれた。もっとも睡魔には敵わず途中で眠ってしまったのだが。
まあそれでも近くに誰かがいてくれるというのは元気がでるもんだ。言葉にはしないが感謝している。
「わあ! 完成したんですね! 見せてください!」
起きてそうそうリリアは目を輝かせながら弓を観察する。
「ふむふむ……ほうほう……」
なんかテストされているみたいで緊張するな。
武器職人の見習いが親方に見てもらう時、こんな気持なんだろうか。
「はい! 私もいいと思います! さっそく外で試し打ちしてみませんか?」
親方の合格をもらった俺は、外に出る。
背中には矢筒を装備してある。
ちなみにこの矢筒は普通のものではない。
【無限の矢筒】
ランク:A+
魔力を消費することで矢を無限に生成することの出来る矢筒。
生成される矢には魔法属性が付与されている。
試しに何本か生成してみたことがあるけど、消費する魔力はかなり少なかった。
この魔道具にも世話になりそうだ。
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