第13話 開戦
「行くぞソラ!」
「おーっ!」
リックは相棒のソラを肩に乗せながらオーガたちのもとに駆ける。
すると彼の前に一体のオーガが立ちはだかる。
「ニンゲンゴトキガ……!」
そのオーガはさきほどリックが蹴飛ばした者だった。
もう少しでエルフを殺せたところを邪魔され、怒っている様子だ。
「【鑑定】……レベルは60、か。さすがオーガ、トロールより強いな」
「ナニヲワケノワカラナイコトヲ!」
手にした斧を振り上げ、オーガが襲いかかってくる。
リックはその一撃を横に跳んでかわし、
剣閃が煌めき、オーガの肉体が両断される。
あまりに一瞬の出来事に、オーガは自分が斬られたことを理解する間もなく命を落とす。
「残念だったな。俺のレベルは90、神の目の力を使わなくても負けはしない」
リックは聖剣を握り締めながらオーガの群れに突っ込む。そして押し切られそうなエルフを助けるようにオーガを次から次へと斬り伏せていく。
「な、なんだお前は!?」
「後で説明する! 俺が中央から切り開くから援護してくれ!」
エルフにそう言ったリックは、宣言通りオーガたちの中に突っ込んでいく。
しかしエルフたちは突然の出来事に混乱し、動けずにいた。すると、
「皆の者! あの若者をサポートするのだ!」
戻ってきた族長リシッドがそう命じる。
そのおかげでエルフの戦士たちはリックを援護し始める。
「よいのですか
「娘が連れてきた人物だ、私はリリアを信じる。それにこのままではどうせ負ける、あの若者に賭けるしか道はない」
◇ ◇ ◇
俺は大勢のオーガを相手に大立ち回りを繰り広げていた。
斬っては回避、斬っては回避を繰り返し着実に数を減らしていた。
「さすがに数が多いな! 疲れてきた!」
すると一体のオーガが背後より忍び寄り、俺の背中を斬りつけてくる。
しかし俺はその一撃を見ることもなくかわし、即座に反撃する。
『ナ、ゼ……!』
「【神の目】は全てを見通す……背中は俺の死角じゃない」
俺は360度、全ての角度を見ているように感じることが出来ていた。集団戦においてこれ以上に役立つ能力はないだろう。
「お、この斧よさそうだな。貰っておくぞ」
倒したオーガが落とした『大鬼人の禍斧 ランク:B』を拾い、右手に聖剣、左手に斧の二刀流になる。
オーガの斧はそれなりに重いけど、その重さに見合ったパワーがあった。もちろん切れ味は聖剣より数段落ちるけど、オーガ相手なら問題なさそうだ。
「ぐわっ!」
背後から聞こえる声。
どうやらエルフの一人がオーガに手傷を負わされたみたいだ。
助けに向かいたいところだが、今俺はオーガに囲まれてしまっている。遠距離の攻撃手段を持っていない俺はどうすることも出来ない。
「……そうだ。ソラ、水刃を使えるか?」
「えーと、うん。たぶんできるよ」
「よしっ。ソラ、水刃だ!」
そう命令を出した途端、ソラから超高速で水の刃が発射される。
そしてヒュッ、という風切り音ととともにエルフにとどめを刺そうとしていたオーガが両断されてしまう。うわ、相変わらず凄い威力だ。
「よくやったな、偉いぞ」
「えへへ」
やっぱりソラは頼りになる。
この戦いが終わったら美味しいものをたくさん食べさせてあげないとな。
……とそんなことを考えながらオーガたちを倒していると、一際大きなオーガが俺の前に現れる。見るからに他のオーガとは強さの桁が違う。こいつがボスか?
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