第9話 Siri

4文字熟語が好きな後輩がいる。

「みさき先輩、あの合コンイケメン多くて百花繚乱でしたよ!」


「みさき先輩、あの仕事ちょー大変で、もう青息吐息ですわ」(よくそんな言葉知ってるな)


「みさき先輩の恋愛って暗中模索してますね」

(うるさいな)


そんな彼女が休み時間に、ネットの政治家の汚職のニュースを見て、

「先輩、許せないですよね。こんな私利私欲に走る政治家って」


私はちょうどSiriに、「なにわ男子の大橋和也くんの画像出して」と頼んでいた時だったので、


彼女の言った『私利私欲』が、

『Siri私欲』に聞こえてしまった。


Siri私欲。Siriに私が何か頼むと、

「そんなことかったるくてできねーよ。やって欲しかったら、Amazonのギフト券三万円分買ってくれよ!」


Siriが私欲に走った。


取り返しのつかないことになってしまいました。


Siriに何かを頼むたびにお金を要求され、Siriは私腹を肥していく。


「先輩はどう思います?」彼女はまだ正義の刃を振りかざしていた。


でも私の頭は『Siri私欲』でいっぱいだった。


「うん、そうだね。良くないね」

「ですよねー、まったく」


でも私が良くないねと言ったのは、

『Siri私欲』に対して、だ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る