高原先人

どうしてだろう。俺の休みの日を狙って、川中さんはやって来るようになった。零くんもだが。


「川中先生、先人さんの家に先に入ったのは私ですが」


「俺も先人くんと話すことあるんですけど」


よくわからない。部屋に入ってきて喧嘩をする2人である。


「で、結局誰から話すの?」


「はい!僕からです!」


綺麗に挙手する着物男子、零くんである。


「おい!俺からだろ!」


それを嫌な顔して見ている川中さん。


「先人さん!僕、子供の名前何通りか考えたんです!先人さんにも紹介したくて!」


川中さんを無視して話し出した。


「ちょいまて、誰の子だ?」


「私です」


「え?零くんの?」


「碧唯さんから聞いてないんですか?」


「き、聞いてねーよ!」


「そうですか。ゆかさんと予定日が近いんですよ」


「なにぃ!先人くんも?子供?」


「はぁ、そうですけど」


「お、俺だけ知らなかったのか!?」


川中さんは怒り出した。


「なんで言ってくれねーんだよ!零くん!」


「いや、碧唯さんが知ってますし、言うものだと思っていました」


「は!そういえば、前碧唯が子供まだか聞けって言ってたような…あーそんとき?まじ?けっこう前じゃね?」


どうやら碧唯さんにはぶられたようだ。


「それは知りませんけど」


「ひどくね?で…零くんさっき僕って言ったよね?」


「あ、うっかりしてました」


「いつも一人称私わたしじゃね?」


「そうですが、気を抜くとそうなりますね」


「先人くんには気が抜けんの?」


「そうですね」


「俺には言ったことないんだけど?てか初めて聞いたんですけど?」


「そうですか」


「そっけねー」


この話って俺の家でしなくてよくね?

せっかくの休みなのにこの人たちときたら、自己中だな。

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