細川将希

休憩しようと廊下を出たところに、零くんの嫁が歩いていた。


「おい、お前体調悪いの?」


肩をたたくとびくっとしたが、元気そうだった。


「あ、細川先生!白衣っすね!」


「おい、質問に答えろ」


「あ、ええっと、」


しどろもどろしている。


「子供できた?」


「わぁ、なんでわかったんですか?エスパーですか?」


「なんとなく。とゆーか欲しそうだったじゃん」


態度でわかるっつーの。


「すごーい!」


「おい、細川!休け…え、知り合い?」


「よ、旭川」


「いや、細川その人は?」


「忍の隣の家の人」


「おおー細川の言ってた。へーかわいいじゃん」


「ナンパすんなよ」


旭川にじっと見られてちょっと引き気味である。


が、


「あの、お兄さん」


「え、俺?」


「旭川のどこがお兄さんだよ」


「旭川さんって、スタイリストのお兄さんいますか?親戚?とかでもいません?」


「…ああ、兄はいるよ?」


今度は旭川がちょっと引いている。


「やっぱり!似てますね!看護師さんですか?」


「おい、そんなの見ればわかるだろ!」


「まあまあ、細川、そんなにかりかりすんなって。兄と知り合いとか珍しいね」


「はい、お世話になってます」


「ふーん。あいつにナンパされないようにな」


「まさか!そんなことする人じゃないです!」


「それ、お前だよ」


少しショックを受ける旭川であった。


「俺はそんなことしないって、じゃ、先行くぞ」


旭川は兄が嫌いだ。なので、逃げ出していった。


「ねー細川先生」


「なんだよ」


こいつがきなんだよな。年上に対する態度を改めるべきだ。


「モデルってできると思う?」


「は?腹出たらまずくね?」


「そっかーどうしよー」


まさかの無計画。


「それは事務所と話せ」


「はーい」


なんという自由人。仕事のこと今まで考えてなかったのかよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る