第60話

「で?私の料理どうでした?」


食後に質問してみた。


「は?普通だし」


「えーもっとなんかないんですか?」


「零くんに聞けよ」


「あ、僕はだいたいなんでも好きですよ?」


「そういうことじゃないしー!」


零さんったら、もう。


「あのー、碧唯さんって料理しないんですか?」


「できるけどしない」


「なんで?川中先生の方が上手だから?」

 

「いや、面倒くさいからだって。碧唯は分量とかかなり正確に計るからな」


「なにそれー無理ー」


「だろうね」


川中先生は薄ら笑いした。もう!あからさまにバカにしてるー!ので、睨んでやった。


「ねぇ、零くん。こんなんのどこがいいの?」


私を指さして言われた。なんてやつ!


「それは、川中先生にもぜひお聞きしたいです」


「え?俺?」


零さんは質問を返した。なんか、川中先生には強気だなぁ。


「それは、やっぱ美人だから?」


「なにそれー最低!」


「あのなぁ、まずは顔だろ?」


「それは碧唯さんは美人ですけどー川中先生は絶対顔で選ばれてないですよ?」


「は?それはお前だろ?」


「お前お前って!私、宝之華って名前なんですけど?」


「うっせーな。まずお前なんかがモデルってのがおかしいんだけど」


「ひどい!人の悪口ばっかり!」


「お前が先に言ったんですけど?」


「だからお前じゃないってば!」


「あの、2人とも落ち着いて下さい」


「私は落ち着いてますけど?川中先生が落ち着きないんですー!」


「零くん、落ち着きない妻を持って可哀想」


「はぁ?ふざけないでよ!」


「敬語でしゃべろよ!」


「あ、あの…」


零さんが困ってる。ここはおとなしくしないと。


「私はこれから書道をするので、失礼します」


えー零さん、川中先生無視する?私に押し付けて!


「え、零くん毎日練習とかしてんの?」


「ええ。個展に参加させて頂くので」


「まじで?すげーな」


なにその反応!


「零さんにはなーんでそんな優しいんです?ひどくないですか?」


「お前は黙ってろ」


「ひどい!」


「零くん、邪魔したね。帰るよ」


「私に超邪魔しましたよね?」


「じゃ」


川中先生は無視した。むかつくー!

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