第59話

零さんとだらだらしてたら、チャイムが鳴った。私は面倒くさがりながらもドアを開けると碧唯さんがいた。


「こんにちは」


「あ!碧唯さん。そうだ!」


きっと碧唯さんなら、なにかしらコメントしてくれる!そう思って部屋に戻って、雑誌を拾って、碧唯さんのところに持って行った。


「碧唯さん、これ、私載ったんです!」


「あら、カラコンしてるの?」


「はい!」


わーい!気付いてもらったよー!


「ふーん」


「そ、それだけ?」


もっとこう、似合ってるとか?ないの?


「あのね、私がここにわざわざ来てるのに、なんで宝之華ちゃんのお話を先に聞かないといけないのかしら?」


「あ、すみません」


なんだか碧唯さんならわかるかなと思って。ついつい話したくなちゃったんだよなぁ。


「私、零くんにお話があるんだけど」


「え、零さん?」


ということで、零さんを呼び出した。


「はい、なんでしょうか?」


「零くん、忍がね、零くんいいやつって言ってうるさいのよ。きっと迷惑かけてると思って。ごめんね、忍うるさくて」


「はい」


はい、って零さんはうるさいって思ってたの?


「ごめんなさいね、寂しがり屋なのよ。許してあげて?」


「はい」


それでいいんですか?


「宝之華ちゃん」


「は、はい!」


なんで私?川中先生ともっと仲良くしてあげて?とか?そんなん嫌ですよ?


「零くんとキスするの?」


「え!?」


な、ななななんでそんな質問?


「どうなの?」


「そ、それは…」


どう答えるべき?いつもしてます。いや、するわけないじゃないんですか?どれが正しいの?


「きゃ、かわいいー困ってる。零くんからいつもするのかしら?」


「はい、そうですね」


ななな、何を答えてんですか!零さんのバカ!ばちっと、零さんの背中を叩いた。恥ずかしい!


「いいね~ラブラブね~」


「もう!変なこと言わないで下さい!」


「お幸せに」


そう言って碧唯さんはドアを閉めた。くっそう。またバカにされた!

夕食を食べていたら、またチャイムが鳴った。


「また碧唯さん?」


「僕が出ます」


零さんが玄関に行ったけど、すぐに声がしたのでわかった。


「零くん聞いてよ!」


今度は川中先生じゃん。私はこっそり、玄関を覗いてみた。


「碧唯がさ~今日帰って来ないんだ」


「そうなんですか?」


「友人の家に泊まるんだって、椿つばきと」


「そう、ですか」


川中先生お気の毒に。ん?椿って?友達の名前?


「はあ、よく泊まるんだよなぁ」


「あの、よろしければご飯一緒にどうでしょうか?」


「嫁いるんでしょ?」


「いいですよね?宝之華?」


私が見てること気づいてたんだ…。


「どーぞ?」


ちょこっと顔を出して言ってみた。


「お、お前そんなとこにいたのかよ」


「どーぞ先生。私のおいしーご飯食べて下さいよ」


ということで、川中先生も加わり食事を再び始めた。


「あの、先ほどおっしゃっていた椿さんとは?どなたでしょうか?」


あ、それ私も気になってたことだし!


「あー俺の娘」


「え?」

「うそ、いたの?」


「なんだよその反応は!」


てっきりいないと思ってた。碧唯さんからも聞いてないし、子供の気配すらなかったし。


「あのー私見たことないですけど?」


「最近はほとんど碧唯の実家か、友達の家にいるし」


「えーなんで?」


「共働きだし、面倒みてあげられないから」


「じゃあどっちかが仕事セーブすれば?」


「俺は無理。碧唯は最近仕事増やしてる」


「えー碧唯さんわがままっすねー」


「いや、しょうがないし。碧唯仕事できるし」


「ふーん。大変ですね」


「お前もせいぜい苦労しろ」


「川中先生よりは苦労してませんよーだ」

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