祈りの時を越えて、白き愛を唄って

静寂の空間


消えていく木霊と愛


信じていた。世界が終わっても。


きっと、祈りが、僕の頭をかすめ飛び、閃光となって、世界にスパークしていく瞬間を。


その時、僕は、何をしていたか。


そう、歌い続けていた。


祈りの時を超えて。


超越への道


孤高の光。孤独のため息。そう、歌は絶歌となって、憎悪を生き返らせる。


祈りの時は終わった。


僕は旅に出る。


閃光が、痛みが、僕を眠らせない。


ただ悲しい、憐憫、それが、僕を前へと駆り立てる。


歌えばいい。でも、忘れてはいけない。


僕が「有罪者」であることを。


そして、「祈祷者」であることを。


祝福は、終わらない。祝福が、過去を、今を越えていく、未来世界。


待っているものは、ただ彼女の微笑


僕が向かうべき場所は、過去ではない。


白い、光を放つ、彼女の中。


美しい声で泣く、彼女の隣。


守る。そう、世界から守る。そして、愛する。


時が二人を引き裂いても、死が僕を跳躍しても、隣には君がいる。


僕はここにいる。


世界なんて、どうでもいいんだ。愛し抜いてくれる君がいれば。


雅歌のように。


山も谷も、神すらも、ぶん殴る。指一本ふれず、世界を変えてみせる。


世界を変える。それは、純白の君に向かって、放射していく、この想い。


「俺の意志は、ただ、君だけを守りたい」


そのまま、このまま、夜明けを迎える。


朝日が登り、精神の牢獄から、僕は解き放たれる。


それは、雄たけび。絶叫。そして、祈り。


僕の祈りは届くのか。世界ではない、神聖な彼女の記憶に。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る