鎖を解く

獣よ


お前は咆哮する


鎖を裂く、怒りの、絶望のマグマ


力が、叫ぶ 解放せよ、解放せよ


恋人たちの、清らかな夢想を、信じる心を解放せよ


慰藉


慰め


詩人はこう語る。


「夢のなかまでも、シャガールのアルルカンは踊る」


そう幻灯の青


救いの太陽 狂っている?  


「太陽は、宇宙の世界で、そして、すべてを救え、救い、奪え、そして、虚無の実存に向かって、光の矢を放て」


神はいるか、神はいない。そんなものより、重要なことがある。


人間的な愛。金でも、名誉でもない。ましてや、暴力?


違う。イアン・カーティスの歌。


救いはあるのか。


死ぬことに意味はあるのか?


生きる意志を選び取る。


このまま自由に、このまま自由に


世界のことなんてどうだっていい。


イアン・カーティス、君ならどういう?


「自殺するんだ」と。


でも、僕はこう答える。


「そう、それがいい」


 そして、窓の隙間から、光がさした。


暗闇の中から、カーテンを揺らして、不意に聞こえた。


「生きて」と。


でも、僕はこういう。


「救いはない」


だから、僕は今を生きる。


もう、言うことはない。


僕は今を生きる。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る