第2話

あの不思議な事件?から早1週間。

なんとかこの体にも慣れてきた。

じぶんの体に対して慣れるもくそもあるか、とは思うけれども。


とはいえ、現状把握は大事だ。

どうやらこの体は、自分の体であって自分の体ではない。

自分が思った通りに体を動かせる訳ではないが、感覚は共有されているらしい。

触られたらその感触はあるし、温度もわかる。

だが、勝手に体は寝るし、動きたいとは思っていないのに動く。

いわば中途半端にリンクしている状態なわけだ。

これに気がついた時は、もしかして転生じゃなくて、第2の人格として憑依しただけなのでは、と困惑した。

だがそんな心配は、すぐに薄れた。

自分の思った通りに動いたのだ、指が。

指ごとき、と言われるかもしれないが、大事なことだ。

指を動かしたいと思い、試してみて、実際に動いた時の感動は忘れまい。

それに感情も多少は共有されているらしい。

自分が嬉しいと思った時には、自分が・・・ややこしいのでマイボディと名づけるか。

マイボディが笑っていたのだ。


と、まぁこんな感じでマイボディの人格を作っているのは俺なのでは、と当たりをつけている。

というか、普通に考えて当たり前かもしれない。

通常であれば、年齢を重ねていくうちに、思考回路が発達し、新しい情報を受け取り成長していくはずの体に、成長期などとうの昔にすぎた大人が入り込むスペースなんてないのだ。(おっさん言うな)

物心ついた時、なんて言葉もあるし、本能のままではなく自分で考えて行動する、つまりは無意識のうちに、自分を自分と認識する頃には、自分がマイボディの人格の部分を乗っ取・・・上書・・・割り込・・・ま、まぁいい感じになっているはずだ。


マイボディが寝ている間は、目の前真っ暗だし、起きていても視界はぼんやりしていてよくない。

ほとんどの部位を思うように動かせないし、マイボディに影響を与えるかもしれないので迂闊に動けない。

けど、少しずつ分かってくるのは楽しいから、お先真っ暗ではないのが救いかもしれない。(好奇心で感覚が麻痺しているだけだろとか言ったやつ出てこい)

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