第31話 洋物の建物と妖艶な人の相性は良い

「紗良ちゃん…、最近、陵くんがHを拒むんだよ~。大好きなメルのお尻も触って来ないんだ、体が悪いのかな…心配だよ~。」


 メルに陵の悩み相談をされたので、


「ん~、あのポンコツに頼んで、体は元の陵に戻したはずなんだが、他に何か問題があるのか?もしかして…、メルの体に飽きて浮気している?」


 大学で良い女性を見つけたんじゃないのか?と聞くと、


「紗良ちゃん!陵くんはメルが大好きなんだよ?三度の飯より、メルの体が好きな陵くんが浮気なんて事をするわけ無いよ!」

 

 メルが怒り出したため、面倒だと感じ、謝罪した。普段の行動パターンが変わらないかを聞いたりして、陵の変化を確認していた。


「陵くんが週末になったら、私に黙ってどこかへ出掛けるみたいなんだ…。どこに行ってるのかを問い詰めても、はぐらかしちゃうんだよ。きっと、交際記念日のサプライズプレゼントでも用意してくれているんだよ。優しいからなぁ~。」


 どこまでもプラス思考のメルが話してくれたが、


(100%の確率で浮気だよ?メル、気付いて?)


 浮気と言うと怒り出すため、それ以上は聞かず、週末に後を付ければ良いと告げると…、


「紗良ちゃん…、なんでそんなに邪な考えしか浮かばないの?そんなんだから、男も友達も出来ないし、みんなに愛想を尽かされるんだよ?心の汚れた親友をメルは救ってあげたいよ。」

 

 どこからどう考えても、浮気なのに…、そんな考えを持つから、メル以外の友達がいないみたいな言われ方をしていた。


(そんなに言うんだったら、浮気現場を押さえて来てやるよ…。)


 俺は週末に出掛けると考えられる、陵の後を付けることにした。



 週末になり、陵の家から奴が出てくるのを待っていると、メチャクチャ見た目を決め込んでいる陵が家から出てきた。


(ほら、あんなに格好を付けている時点で女と会うに決まってるだろ?)


 分かりやすい陵を見て、浮気を疑わないメルに呆れていると…、陵の後ろからメルが普段着よりは落ち着いた大人みたいな服を着て、後を付けようとしていた。


(メルもやっぱり、信用してないじゃん…。変装のつもりなのかな?可愛さがウリのロリJKのメルに大人っぽい服は似合わないよ?)


 陵は普通に電車に乗って出ていくので、同じ車両の遠い所から奴の動向を見て、痴漢をしないか確認していた。スゴく触りたそうな目と手の動きをしていたが、我慢してかなり遠くの駅まで行くと次はバスに乗り込んだ。そして、かなり人が少なそうなバス停で降りると、タクシーで追っていた俺はタイミングをずらして気付かれないようにそこの近くで降りた。


(全然、尾行に警戒していないし、浮気ではないのか…?)


 取りあえず、陵を追っていく。しばらく歩いた先に大きくて変な洋館へ陵が入って行く所を確認したあと、侵入口を探していると…、屋根の上にメルがいて窓から入って行くのを確認した。


(忍者?屋根へはジャンプして登ったのかな?)


 メルの行動力はスゴい事はわかっているが、如何せん詰めが甘いため、俺はしっかりと警備と監視カメラが無いのを確認した。一階部分の窓を調べたり、侵入口を探していたが、他に空いている窓も無いし、仕方ないので、メルが入って行った窓から侵入することにした。


(俺もメルも空き巣みたいなヤバい事をしている奴だよ。)


 とても大きい洋館なのに、監視カメラも警備すらいない。金目の物がありそうなのにどこか不審な点が多すぎる館だった。中に入ると、西洋風の高そうな置物や絵画があるやっぱりオカシイ場所だった。


(いくらなんでも、警備がいないのは変だ…。まるで不法侵入者を誘っているかのような状態だ…。)


 警戒に越した事は無いと感じて、慎重に進んで正面玄関を目指すと、物音がしたので、吹き抜けの二階部分から下を見ると、陵と変な格好の女性がイチャイチャしていた。


(浮気だけど…、相手の女は本当に人間なのか?アレはどっからどう見ても、人じゃないよ?)


 透き通るような白い肌とあり得ないくらいの抜群のスタイル。それに白い手にある赤黒くて長い爪。あんなの…、明らかに人間の女と呼べる領域を越えている。二人を観察していると、陵が大好きなレイアさんの巨乳を上回る胸をとても嬉しそうに揉んでいた。


(どれだけ胸の大きな女性が好きなんだよ…。)


 高身長JKの紗良がDカップぐらいでグラマラスな外国人のレイアさんがFカップ?だろうし、アレは…Lか、Mぐらいあるぞ。巨乳好きの陵には堪らないんだろう。


(陵の体の感覚が記憶にある俺は紗良じぶんの体のDカップでも重くて、ちゃんとしたブラで固定しないと歩く度に揺れるのに、あの女は面積の少ない服ではみ出そうな胸はノーブラ。しかし、垂れ下がる事なく、キープ出来ている…。きっと、人間じゃない。)


 胸ばかりに行ってしまったが、お尻も大きいため、全身を舐め回すように陵は触り倒している。女もそれを嫌がらずにとても気持ち良さそうに抱き付いて首元に尖った牙を刺した。


(キバ!何者なんだよ。あの女。ヴァンパイア?)


 女が血を吸っているのでは無くて、陵の中にある何かを吸出している。


「陵くん!その女から、離れてよ!」

 メルがやって来て、女と陵の前に立ち塞がった。


「あら、あれが陵の女なの?まったく…、あんな幼女のどこが良いのよ!」

 そう言って、ヴァンパイアっぽい女が話したので、キレたメルが、


「だから、メルは胸が大きい女が嫌いなの!レイアも紗良ちゃんもみんなして胸を強調させて、性悪ですぐに陵くんを誘惑するんだもん!」

 メルは胸が大きいすべての女を嫌っている中に俺を入れられたので、


「メル、性悪は言い過ぎだよ、それから私も巨乳の部類に入れないでよ。少し大きなだけなんだからさ~。それに私の場合、ブラのお陰で大きく見えてるだけだよ。」

 そう彼女に言い返しながら、二階から飛び降りて、三人の前に現れた。


「あら、こちらの方が見た目は良い女じゃない…。」

 ヴァンパイア女にメルよりも良い女と言われたが、それを聞いたメルは、


「まさか、紗良ちゃんまでグルだったとは、思わなかったよ、親友に裏切られてメルは悲しい…。」

 裏切りと言う、変な疑いを掛けられた。


「メル、相手のペースに乗せられ過ぎだよ。奴は私とメルを同士討ちさせるつもりだから…、目的を見失わないでね。」


(やれやれ、方向音痴だし、陵の事になると周りが見えなくなるし、困ったヒロインだよね…メルは。)


 頭に血が上り、冷静さを欠くメルと何故か巨乳の括りに入れられた紗良オレは陵と浮気をしていたヴァンパイア女と対峙する事になった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る