第25話 学校の怪談は階段から始まる…
ミステリー研究部の部活中にいなくなった龍輝たちが女子生徒になっていたので、みんなに聞いて回ったのだが、誰も彼が男子高校生だった事を覚えていなかった。怪しすぎるため、調べていると…
(名前以外は全部、過去改変されているぞ…。)
周りを見渡すと、男女比率が4対6ぐらいで女子がやや多い。しかも、男女カップル率も異常に高いのだ。
(気にもしていなかったけど、コイツらほとんど、誰かと付き合ってるのか…。)
俺はそれが気になり、いろんな女子生徒たちに名前を聞いてみると、男の子っぽい名前がちらほら聞けると言う、異常事態に陥った。
(誰もこの異常事態に気が付いていないぞ?性別が女子に変わって改変されても、誰も気付かない。その家族すらも…だ。)
男の子っぽい名前の女子生徒に彼氏が出来た背景を聞くと、昔は友達としてお互い仲良く接していたが、ある日を境にお互いを思う気持ちが恋愛感情に変わったらしい…。付き合っているクラスの男女全員に聞いて回ると一目惚れでは無くて、友情からの交際だと言う、答えが帰ってきた。
「紗良やメルなど、元々女性っぽい名前の女子生徒には、ほとんど同じ学校に恋人がいないのか、これは意外な答えだな…。」
付き合っている男女は昔からその二人一組で行動している共通点がある。つまり、大多数で騒いでいるような女子グループは恋愛の色すら感じなくて、少人数で仲の良い男女に名前を聞くと、その片方の相方が女子に変わったと考えられる。
(メルが言うには男女比率が変わったのは最近らしいな…。もう少し調べてみよう。)
「あれ?紗良ちゃん、今日は真面目に部活に来るんだね。副部長のメルも親友が改心してくれて嬉しいよ。」
メルは進んで部活に来る紗良を見たのが、初めてだと言って俺の積極的な部活へ行く姿勢に感動している。そんなメルを捨て置いて部活に入ると…、
「紗良先輩!お待ちしていましたわ。ささ、僕の隣にお座りになってくださいませ!」
そう言われたので、席に着くと彼女は甘え始めた。
(この子はなんで紗良が好きなんだろう?男らしいから?)
イチャつく彼女に触られながら、座っていると部長がやって来て、
「メルくん、圭太は今も目が覚めない、龍輝くんも大事を取って休みだ。なので、今日はこの五人で行方不明の生徒を調査しようと思う。柏崎くんにも今日はお手伝いしてもらえる事が決定したし、私と栗原くん、メルくん達の三人に別れて、調査するが、くれぐれも連絡は怠らないように…。」
彼はそこまで告げると仲良しの二人で部室を出ていった。
「よし、二人とも、メルに続いて付いてきてね!」
そう言ったメルは全速力で部室を飛び出していった。
(いや、だからメル、もう少し周りに歩調を合わせて動こうよ。)
いつも全力失踪の彼女に置き去りにされてしまい、俺と僕っ子お嬢様の柏崎さん?が取り残されたので、
「お稽古はいいの?」と彼女に尋ねると、
「門限まで、先輩と一緒に過ごせる特典があるとお聞きしたので、お稽古よりも僕は恋に生きます。」
彼女は恋人のように手を繋いで、側に寄ってきた。
(この子はかなり変だ、メルや陵とは違うヤバさを感じる…。)
彼女にベッタリと引っ付きながら三階にある音楽室へ向かう階段を上っていると、階段がいつもより多い気がしてきた。
(あれ?階段が増えてる…。道を間違えたのかな?)
明らかに三階に向かう階段の数が増えてる。異変を感じた俺は隣の彼女に、
「ちょっと、私に掴まっててね。」
彼女をお姫様抱っこして、階段を下って一気に引き返す事にした。
「紗良先輩って、カッコいい…素敵。」
彼女は好きな先輩からのお姫様抱っこに興奮していたが、この異常事態に突っ込む余裕も無いため、階段を飛び降りるかのように戻って行った。
無事に一階へ到着すると抱えた彼女を下ろして、メルにすぐ連絡した。
校舎の廊下で待っていた俺たちにメルが走ってやって来たので、階段が増えて、異空間へ拐われる所だった事を話すと、
「えっ?マジで?本当なら、七不思議の一つ…っぽい話だよ!倒れた龍くんたちはそこを通って、違う世界に行ったんだよ!」
オカルトマニアのメルは早速、階段を上って試してみようと行ったが、
「いや、異空間へのカギは何かの条件が必要なんだ…。日常茶飯事にこれが発生していたら、学校の生徒全員が倒れるだろ?進むのは、理由を解明してからだよ。」
がむしゃらに進んでも、無駄な行動になるだろうと話すと、
(男子二人でも、女子二人でも、こう言う現象が起こるのかな?音楽室が問題では無くて、音楽室に行くための階段が問題って事?同性への憧れや好意に反応して、異世界への移動が起こるとしたら…。)
考えている事に結論が出ないため、階段の前に立ち止まっていると部長と栗原さんがやって来て、何をしているのかを尋ねられた。
「なるほど、異世界へ進む階段か…、開くには二人組で移動しないとダメなんだね。それなら。」
部長は二人に分けて登ってみたらどうかを進められたので、
「紗良先輩はワタクシとまた、登りましょうね。」
柏崎さんが腕を組むと強引に階段を登って行こうとするので、
「良いけど、慎重に…ね。」そう彼女を諭して登り始めたら、
「紗良先輩には負けません!さあ、メル先輩、私たちが先に解決して、幽霊部員なんかよりも有能である事を見せつけてやりましょう!」
紗良に対抗心を燃やす栗原さんはメルを引っ張って、早足で進んで行った。
「おっ!やる気だね、蒼惟ちゃん!この副部長のメル先輩に任せなさい!」
ノリノリのメルもそれに合わせて、大胆に階段を進んで行った。
(勝負じゃ無いんだけど…。なんかあったら、どうするつもりだろ?)
放っておくと危ないので、あっという間に見えなくなった二人を追うように、足早に柏崎さんと進んで行くと、階段がいつもより増えたあと、普通に三階へ到着してしまった。
(あれ?普通に着いたんだけど…、それにメルたちがいなくなったぞ?)
どうやら、俺たちだけが、男子生徒が女子生徒になる原因を作り出す、異世界へ辿り着いたらしい。
(メルみたいに駆け足で進むと、階段の数なんて気にもしないからな…、何も考えずに行動すると…、色々とダメだって事だよ。)
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