第23話 失踪事件は学校の怪談では無い
謎の部活動の幽霊部員らしい俺は、紗良目的の僕っ子JKの隣に座らされ、彼女に物凄く引っ付かれて甘えられた。他のみんなはそれを見てみぬフリをしてさりげなく本題に入る。
(その前に何の部活なのかを教えてくれ、メンバーのキャラがバラバラ過ぎて分かんねぇよ…。)
メルの謎過ぎる部活動に連れて来られた幽霊部員の俺は訳も分からずにソイツらの会議に出席していたら…普通に話が始まり、
「今日は、夜の音楽室から聞こえる声について有力情報が入ったので、聞いて貰いたい。関係書類をまとめたのだが…栗原くん。頼めるか?」
部長に指示された、栗原と言う真面目女子がノートパソコンをモニターに写し出して資料を大画面に写し出すと、
「では、説明するよ…」
部長は二日前、音楽教師の姫佳先生とやらが、部活のコンクールの事で帰りが遅くなり、忘れ物を取りに音楽室へ向かった所、中で話をする生徒たちの声が聞こえたため、叱ろうと鍵を開けて入った所、誰もいなかったらしい…、あと、その女子生徒っぽい人たちは違う教室で意識を失っていて、今も目を覚まさない事を話していた。
(それって、こじ付けじゃないのかな?偶然、三階の音楽室の中の声がした事実と倒れた生徒との時期が重なっただけで、暗くて部屋を間違えたのなら、分からなくも無いけど…。)
「なるほど、これはメルたちの出番だね。音楽室を調べて徹底的に探す。そして、瞬間移動の謎を解き明かす…行こうよ、紗良ちゃん。」
猪突猛進のメルはそう言うと、部室を飛び出して行ってしまった。
「ふん!副部長とはいえ、抜け駆けはさせんぞ!行くぞ、
厨二病っぽい圭太くんは恐らく一年の後輩らしきベビーフェイスの龍輝くんを連れて、メルのあとを追っていった。
(アホの二人だな…。付き合わされる龍輝くんが可哀想だよ。)
「あの調査って長引きますか?面白い話でしたけど、僕はお稽古と門限があるから帰りますね。それじゃあ…紗良先輩、皆さま、楽しいお話と有意義な時間を過ごさせて頂き、感謝します。ごきげんよう。」
紗良大好き年下僕っ子お嬢様風の彼女は調査が長引くと家の門限を過ぎてしまうと行って、話を聞く事と紗良にベタベタするだけを楽しんで一時間もしないうちに帰ってしまった。
(門限?お金持ち女子あるあるだな。俺は彼女みたいな人を本物の幽霊部員って言うんだと思うよ?)
一気に半数以上減った部室で、部長と真面目女子は気が合うのか、仲良くああでもこうでも無いと言って、オカルト事件?の事を話し合っていた。
(この二人はオタク男子と真面目女子の地味カップルなのか?この二人の世界感は、確実にデキてるだろ?)
「紗良くん…、申し訳ないが、あの三人では不安なので、現場調査をお願い出来ないだろうか?僕と栗原くんは二人で行方不明の男子生徒たちについて、身辺調査をするつもりだからね。」
遠回しに邪魔だから、部室から出ていけと言われてる気がした。
(かなり不純な部活動だな。部長は後輩女子とデキてるなんて…。)
そのまま帰ってやろうかと思っていたが、音楽室に覗くだけだし、帰る前に立ち寄ることにした。
音楽室に到着すると、三人の姿はなくて一人の女性教師がピアノを引きながら、楽譜に何かを書き込んでいた。
「あの、こっちに変な三人が来てませんか?」
恐らく、姫佳先生と呼ばれている人に声を掛けると、
「誰も来ていないわ。今は少しだけ忙しいから、あなたみたいにこの教室へと入って来ない限り、近くまで来たとしても…私は気付かないかもしれないわ。」
部活のコンクールが近いらしく、話し掛けられた事で集中が途切れて、少しイライラしていた先生の邪魔になると思った俺はすぐに立ち去った。
(どこに行ったんだよ、三人とも…。)
調査すると行ったくせにいない三人に呆れてしまい、心配で校内を探し回っていると、ある廊下の突き当たりでメルが壁を調べていたので、
「メル!音楽室に行かず、そんな突き当たりで何してんだよ。」
不思議な行動をする彼女に聞いてみると、
「紗良ちゃん、大変だよ!音楽室が消えちゃった…。確か、この先にあったはずなのに…。これはきっと、七不思議の一つ…消えた音楽室だよ!」
メルが意味の分からない事を言っているが、理由は分かった気がする…。
「メル、お前って、かなりの方向音痴だろ…。」
コイツがいつも飛び出していなくなり、後から到着したり、途中で行方不明になったりする理由が分かった。彼女はスマホの地図を見ないと迷子になるタイプの方向音痴だったんだ。
「メルは方向音痴なんかじゃあ無いよ!それは…たまに家の場所が分からなくなって、スマホを使うけど…。」
今、住んでいる陵の家すら、スマホを使わないとたどり着けないらしい。
(圭太と龍輝も方向音痴なのか?音楽室に来ていないって、あの女性教師が言っていたよな…。それとも、行方不明の女子生徒たちみたいにいなくなった?)
「姫佳先生って、この学校に来て何年ぐらいなのかな?音楽室で騒動を起こしているから、彼女が一番怪しくない?」
ぶっちゃけて言うと、あの先生が怪しいと話すと、
「え~、熱心に部活もしてるし、女子人気も高いし、良い先生だよ。」
メルは真面目な音楽教師だから、怪しくないと言っていた。
その後、二人で圭太と龍輝を探し回ったが見つからないため、部室に帰ると、部長と栗原さんは二人で調査をすると私たちにメモを書き残してすでに学校を出たみたいだ。
「メル、あの二人、絶対にデキてるよ?校内での不純な男女の接触行為は禁止されているから、外で楽しむつもりだよ?」
どちらかの家でそう言う事をするつもりだと話すと、
「ダメだよ?紗良ちゃん。さっきから、疑ってばっかりじゃん。人は信じなきゃ一人ぼっちになっちゃうよ?」
他人の恋愛には興味の無いメルに叱られてしまった。
(無垢純粋なフリをしやがって…、陵と楽しんでいるくせに。)
ラチが空かないため、メルは圭太たちが行方不明になった事を部長にメッセージで報告して、家へ帰ろうと言ってきた。
(これは失踪事件だよ。被害が広がらないと良いけど…。)
きっとまた、変な事になる…、そんな気がした。
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