第16話 憑依の目的はくだらない
紗良の体を借りて、陵が電車での痴漢行為をしないように防いだ?のだが、これからも、コイツの犯罪行為を防がないと紗良にも、死が近付いてくるらしい…。
「さあ、陵くん。大好きな制服JKだよ。今日から一緒に寝て、性欲をコントロールしましょうね~。」
メルは陵にガンガン迫っている。
「あなたたちはなんで俺の家まで来るんだよ。触った事は謝るから、もうしないから許してくれよ。」
泣きそうな状態の陵はすでにJKがトラウマみたいになっている。
「紗良ちゃん!いつまでいるの!これからは陵くんと私の時間なの、出ていってよ!」
メルに自分の家でも、部屋でもないのに追い出された。
(そもそも、紗良の俺は帰る所が無いんだけど…。)
部屋を出ると母さんがやって来て、
「あの、ウチの陵とはどういうご関係ですか?」
見知らぬJKが二人も押し掛けて来たため、心配していた。
「あっ、ごめんなさい。メルと陵さんは恋人なので、私は失礼します。」
そう言って、取りあえず陵の事はメルに任せる形で家を出た。
メルが紗良と陵を助けるために色々とオカルト現象の解決に協力して、神様たちから、変な道具を借りていたのは分かる。でも、それがリセットされたのなら…、どうなるんだろ?もちろんこの世界線には有紗もレイアさんも勇も存在しないのかな?
行く宛もなくて、記憶を便りに俺は紗良の家に行くと、普通に存在していて、鍵も持っているから入ると、
「お姉ちゃん、お帰り~。」紗奈も存在していた。
「ただいま、私って紗良だよね?」一応、聞いてみる。
「何を言ってるの?変なお姉ちゃん。」
紗奈は別世界の紗良を見て、違いを感じず、気にもしていなかった。
(紗良だけはどの世界にも存在していて、今日死ぬ予定だった…。)
陵と紗良はどちらも同じ日に死ぬ。それを回避して来たけど、世界に紗良は一人しか存在できないから、こっちの世界の紗良は助かった世界へ移動して死なずに済んだのかな?
(問題は何故、異世界の紗良とこちらの世界の陵が繋がったのか?だよ。いくらメルが努力しても、原因を取り除かないと同じ事が起こる。)
真剣に異世界との世界線の考え事をしていたら、メルから電話が掛かってきて、出てみると、
「おつ~、紗良ちゃんって憑依された事ある?」
メルが変な事を言い出したので、無いよって言うと、
「エロ男が女性に憑依しておっぱいモミモミ、股をシコシコするアレだよ。紗良ちゃんは週に何回ぐらいアレをシコシコしてるの?」
憑依の話なのに、紗良の性的発散回数を聞いて来やがった。
(擬態語が多すぎてウザいな、無視しよう。)
「女子が憑依されて、乱暴されるのか?厄介だな。」
「うっん、生きてる人間に憑依して支配するらしいのっ。しかも、若い女性、ばっかり。メルは今、陵くんの体の上でHに忙しいから、代わりに捕まえて来てよ~。」
スゴく気持ち良さそうな声で話してきた。
(男に跨がりながら、電話を掛けるなよ。)
「男を私に憑依させるの?相手を騙すの?」
メルの目的は分かったがどうするつもりだろう。
「紗良ちゃんが憑依されるぅ、直前でぇ、捕まえるのぉ。」
スゴくHの最中に電話をしている…。ある意味すげぇな。
「もう!陵くんったら!そんなに激しく動いたら!」
そのあと、電話が切れた。
(メルのこう言う所はマジでムカつくな。なんでも、陵が優先。)
「お姉ちゃん宛に荷物が届いているよ?」
紗奈がが持ってきた荷物の中身を開けると、メルが持っていた、魂を捕らえる手袋が入っていた。
(これで捕まえろって事ね。まあ、暇だし…、やるか。)
その後、俺は紗奈にメイクをお願いして、JKの制服でスカート短めの少しギャルっぼい感じの風貌に変身した。そして、憑依被害者が続出している場所に言ったあと、熱心に片手でスマホを弄って、無防備な感じを醸し出して、寛いでいると、
「へへっ、巨乳JKだ。エロい胸をしていやがるな。」
変な男の声がしたため、スマホのミラー越しに見てみると後ろから俺に飛び込もうとしているオタクみたいな男が居た。
(やっぱり…、俺は魂になった事があるから、見えたよ。)
俺は人に憑依して女性を傷付ける奴を睨み付けて、
「見てんじゃねぇ~よ、オタク野郎。」
そう言って、左手に身に付けた手袋で素早く霊体男を捕まえた。
「どうですか?力が出ないでしょ?変態さん。」
俺は男に向かって言っていたが、
「なんだよ、お前はなにもんだよ!」
逃げようとするが、この手袋に掴まれるとなぜか、魂の状態では動けない。
俺は女を食い物にする男に服を脱いで、男性のアレを見せろと言って
「どうせ、魂だけだからな。魂のアレを潰したら、どうなるんだろ?」
そう告げて、脅してみると、
「やめろ!俺は死人じゃない!実体を持っていて、幽体離脱したんだよ!」
男が止めろと言ってきたため、踏みつけて潰そうとした時に、
「止めい!また、あんたか。」
声がしたので、上空を見上げると、前に成仏させようとした、黄泉の世界にいた橋渡しのポンコツ男性が、俺を止めてきた。
「あれ?降格したんですか?」
彼が現世で仕事をしているっぼいから尋ねると、
「あんたらのせいでね…。それよりもソイツは今の私の持ち場じゃない。神具の無断使用は重罪で地獄行きだ。お前が長時間、魂のままでソイツを捕らえて離さないから、我々に見つかったんだよ。」
そう言った、元冥界の案内人が俺から憑依クズ男を奪うと、
「見ていろ、地獄の使者が来るぞ…。」その瞬間。
すると、道を歩いてこちらに向かっている、オオカミみたいな犬がいた。その犬にリードを着けて散歩させているフードを被ったチャラそうな若い男性がこちらに向かってくる。
(あれ?三つの頭がある犬…、ケルベロスかな?)
「三河くん、お疲れ~。猪狩ちゃんも、お疲れ~。」
チャラ男は俺を猪狩だと知っていたので、ピンときた。
「あ、黄泉の国の死神さん!」そう言ってすぐに理解する俺に、
「姿を変えられたのか、うんうん、声も良いし最高だよ!三河くん、コイツが例のあれ?」
チャラ神様がそう元部下の三河?さんに聞いていると、
「はい!先に見つけましたので、この方の協力を得て捕まえました。」
と彼が答えると
「てめぇは何もしてねえだろ!死ね!」
俺が捕まえた事を知っていたチャラ神様は三河さんを遥か彼方へ蹴り飛ばしてしまった。
(現世でもポンコツなんだね…。)
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