第9話 ゲス野郎を通り越した俺と鏡の世界
新しく、妻になった外国人のレイアとその息子の勇が家族に加わった。
俺の女性遍歴に
(俺の意識はまだ、童貞なのに…。)
でも、日本人ではない妻のレイアはセカンドパートナーに寛容で、メルも娘のルナをも認めて、家族として受け入れていた。反対にメルは俺とレイアが結婚しているのに、関係を持ってきた俺のゲスさに興奮して、前よりも喜んでいるみたいだ。
年齢的に無理な設定のため、レイアに尋ねていた。まったく似ていない勇の親は俺じゃあ無いのでは?と、
「陵さん、安心して勇は99.99%以上あなたの子よ、私はあなた以外の男性とは関係を持たないわ。」
そう言って、親子の証明であるDNA検査の紙を見せてきた。どうやら彼女の国では、男尊意識が強く、初めての相手以外とは性的な関係を持たないらしい。
こんなに素敵な女性なら毎日、性的な事をしたいのだが、俺たちの二人部屋には、メルや有紗が押し掛けて来て、夫婦らしい生活を送れなくしてくる。
「レイアは国に帰りなよ!お兄ちゃんは私と結婚するの!」
妹の有紗は兄と関係を持っている、メルやレイアに敵意を剥き出しにして家から追い出そうとしている。
「ゴメンね、有紗ちゃん。でも、私はもう、帰る家が無いの。私の国では離婚は許されないし、私は陵さんのすべてが好きなの。」
どこまでも一途な彼女は、俺を思ってくれている。
「メルは、面白い人が好き。陵くんは面白いもん。」
元凶のメルは快楽を優先するヤバい女のため、正妻になれないこの状況が堪らなく心地良いらしい。
(こっちは元々、自分の娘の面倒を見ないようなヤバい女だからな。しかも、それを悪いとも思っていない。)
紗奈はまだ中学生なのに、姉を失った影響で命を大切さを知っていて、献身的にルナの子育てをしている。子供は誰かの助けを借りないと生きられない。だから、子育てをしないメルの代わりを一生懸命やっているし、レイアが居てくれるお陰で、ルナの子育てはみんなでやるみたいな流れになってきた。
(どっちにしても、メルのせいで女性に遭遇したら、逃げるくらいのスタンスでいかないと家族がもっと増え続けるぞ。)
「陵くん、今日は行方不明者が続出している心霊スポットの謎、だよ?これこそ、メル達の力を必要としている。呼んでいるんだよ。」
霊が俺とメルを呼んでいると言い出した。
「レイアさん、君からもメルに休日くらいは子育てに専念しろって言ってくれないか?」
子育てをしないメルを叱って欲しいと頼むと、
「陵さん…、メルちゃんはまだ高校生なの、遊びたい年頃なのよ。それに子供が出来たのはあなたが悪いからじゃないの?」
メルを襲い、無理矢理妊娠させて彼女の時間を奪った俺には言う資格は無いと、逆に叱られてしまった。
結局、言いくるめられた俺はメルと勇、有紗で若い男性の行方不明者が続出する心霊スポットの鏡の館へ来た。
「鏡は自分の本当の姿を映し出すって言うくらいだから、クズの陵くんは特に気を付けなよ?醜い姿が映っちゃうよ?」
メルが俺を脅して来たが、それはお前だよと言いたくなりそうだった。
「お父さんなら大丈夫だよ。心が綺麗なクズ男だから。」
勇がフォローしてくれたが、実の子供にクズ認定はされているらしい。
「勇は分かってないよ、心もクズだから、お兄ちゃんはカッコいいんだよ。」
有紗も俺をクズだと認識して、接しているらしい…。
(同行する三人全員にクズ扱いをされてしまったよ…。)
でも、何度も不思議体験をした俺はどういう事が起こっているかが分かる、行方不明者は鏡の中に閉じ込められているから、行方不明になるんだ。
「メル、鏡の中に取り込まれた人が鏡から脱出する方法はあるの?」
彼女の豊富な知識を聞いておく事にした。
(メルは何だかんだでヒントをいつもくれている…。変な世界に巻き込まれても、彼女が何かしらのアドバイスをしてくれるからな。)
メルは鏡には鏡を使えと話してくれた。自分の姿を反転するのなら、再び、反転させると元に戻ると教えてくれた。
「スゴい鏡の量だね。自分の姿を映すだけの鏡ばかりだから、何も不審な物は無さそうだけど…。」
俺は鏡の一つ一つを確認していたが、特に異常な所はない。
しばらくすると、はしゃいで楽しんでいた小学生コンビの勇と有紗がいなくなっていることに気が付いた。
(アイツら…、離れるなって言ったのに…。)
その後、メルと二人で探したのだが、どこにもいなかった。すると、メルが俺の背負っているリュックから、霊的なヤツを測る計測器を取り出すと、
「うん、陵くん。この無数の鏡の中に、違う世界に繋がる鏡があるのかも…。多分、その鏡に映ると向こうに行っちゃうんだよ。」
彼女はそう言って、計測器の数値が高い方へ歩き出した。
俺は変な計測器を当てにしなかったため、反対側を見ると、一つの鏡に目が行ってしまい、その前に立つと…、俺と同じリュックを背負う、亡くなった紗奈の姉、紗良さん似の可愛い女性が映っていたが、俺と同じ動きをしたため、すぐにこの鏡が当たりだと分かり、
「メル!お前のその計測器は当てにならないぞ!この鏡が当たりだ!」
と叫んだ瞬間に鏡の中に引きずり込まれたので手を伸ばすと、
「陵くん!今、助けるよ!」
メルがもうダッシュで走って来て、手を伸ばして俺の手を掴んだ瞬間に、二人して鏡に飲み込まれてしまった。
鏡の中に引きずり込まれた、俺たちは、
「お母さん!起きてよ!」誰かに叩き起こされた。
目を開けると、目の前に有紗っぽい男の子と女の子の服を着た勇がいた。
「勇!どうしたんだ?」
と言い放った声で分かってしまった。鏡の中で俺たちの性別が反転している事に…。
「お母さん、遊びに来たのに寝てちゃダメだよ。」
元々、レイア似の美少年の勇は見た目も性格も中性的で女の子になっても変わらなかったが、
「姉貴!保護者なんだからしっかりしろよ!」
男の子になった、有紗は見た目も中身も変わってしまっていた。
もちろん俺も、紗良さん似の姿をした女性になっていた。でも、一年間以上、この見た目の女性だった記憶もあったため、自身では特に驚かなかったのだが、
「あれ?陵くんが紗良ちゃんっぽく、なってるぞ!」
全員が反転する中、メルだけは性別が変わっていなかった。
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