♯12 ブラジャー交換

「良かったら、そのブラあげるよw」

「えっ、いいんですか?」

「うん、そんなに気に入って貰えたら、私も嬉しいしw」


 メイクの力で自信を付けた女の子の姿は美しく、僕は感動していた。


「でも、麻里子さまはどうするんですか?」

「私はリュックの中に男モードの服が入ってるから、それに着替えるよw」


 僕は、もしもの事態を考慮して、女装外出をする時は常に男物の洋服一式を持ち歩いていた。


「え~! じゃあ、麻里子さまじゃなくなるってこと?」

「うんw」

「じゃあ、私のブラと交換しましょ!」

「えっ!」


 試合後のサッカー選手が相手チームの選手とユニフォームを交換するように、僕と瞳美ちゃんはブラジャーを交換することになった。


 瞳美ちゃんのしていたブラジャーは白のコットン製で、ホックが1段しかなく、胸の形状を補正する機能もオミットされていたので、アンダーバストが82センチの僕でも難なく装着することが出来た。


 このブラジャーは俗にジュニアブラと呼ばれていて、乳房の形状を補正するというより、発育し始めた敏感な乳頭が服に擦れることを防ぐ為の物だった。


 そのお陰で、僕の胸元からはカップの内側に溢れ出る膨らみはなくなり、あばら骨が浮き出ていた。


 僕は自分の胸の谷間が気に入っていて、選んだメイド衣装もデコルテ部分が大きく露出するスクエアネックのモノだった。


 しかし、このままでは、貧相なあばら骨が露出するだけで、全然、可愛くない。


「瞳美ちゃん…良かったら、衣装も交換してくれない?」

「あっ…はい!いいですよw」


 瞳美ちゃんは一瞬で僕の状況を理解してくれて、衣装の交換を快諾してくれた。


 メイド服のトップスを着た僕たちは、スカートを脱ぐことになった。


「あれっ、早耶ちゃん! パンツが…」

「えへへw 私もあの日から見せパンをやめたんですw」


 早耶ちゃんは僕に影響されたのか、オーバーパンツを穿いておらず、ピンクとグレーのボーダー柄のショーツを一枚履きしていた。


「そうなんだw めっちゃ可愛いよw」

「今日の麻里子さまは、どんなパンツですかw」

「私はブラとセットのショーツだよw」


 多くの女性がブラジャーとショーツを揃えることはしないが、僕は必ず上下の下着を揃えるようにしていた。


「えっ!赤のレース!しかも、お尻が透けてる!」

「やり過ぎかなw」

「いえ!麻里子さまに似合ってて、とっても格好いいですw」


 お尻の割れ目が透けて見えるシースルーのショーツを穿いた変態オカマ野郎の僕は、女子高生から格好いいと言われていた。


「えっ…瞳美ちゃん…」

「やっぱ、ダサいですかw」


 瞳美ちゃんはオーバーパンツどころか、スカートの下に体操服のハーフパンツを穿いていた。


 胸元から胸の谷間が見えるセクシーなトップスと、体操服のハーフパンツとの組み合わせは、不自然さを通り越して滑稽な見た目になっていた。


「さすがにねw」

「ですよねw」


 ハーフパンツを脱いだ瞳美ちゃんが穿いていたのは、ブラジャーと同じ綿100%のおへそまで隠れる白いショーツだった…。

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