♯10 コスプレ

「ねえ、せっかくだからコスプレしません?」

「コスプレ?」

「無料で衣装をレンタルしてもらえるんですよw」


 早耶ちゃんは、普段はしないコスプレをしたくなる程、テンションが高くなっていた。


 プリ機には標準で顔を補正する機能が備わっていて、メイクをした彼女たちの顔は更に派手になり、清楚なK女の制服とつり合いが取れなくなっていた事も彼女たちがコスプレをしたくなった要因の一つだと思われた。


「どれがいいかな…」

「これなんかどうかな?」


 大人しい見た目だった瞳美ちゃんも、メイクをしたことで表情が明るくなっていて、積極的に衣装選びをしていた。


 アンダーバストが82センチもある僕は、似合う洋服のデザインに制約があり、チャイナドレスのようなタイトな衣装を着ることが出来なかった。


「じゃあ、私はこれにするねw」


 僕は衣装選びに手間取っている早耶ちゃんたちを尻目に、メイド衣装に即決していた。


 僕は自分に一番似合う洋服が、スカートが広がったメイド衣装だと分かっていたからだ。


「先に着替えてるねw」


 僕が一人でフィッティングルームに入り、制服のブラウスを脱いだタイミングで、早耶ちゃんと瞳美ちゃんがカーテンを開けて入ってきた。


 女子校に通う彼女たちは、男の裸には抵抗がある筈だったが、僕のことを本物の女だと思っているのか、彼女たちに恥ずかしがる様子はなかった。


「わっw 麻里子さまって、大人のブラをしてるんですねw」

「赤のレースって何かエロいw それって、校則違反ですよw」

「普通のブラだから別にエロくないよw あっ、結局、二人もメイドにしたんだw」

「はいw 麻里子さまとお揃いにしようってw ねw」

「うんw でも、そんな事より麻里子さまの胸の方が気になりますw」

「だから、普通のブラだってw ほらっw」


 僕は彼女たちの方を向いて、自分のブラジャー姿を披露した。


「すごい!麻里子さまって、意外と胸があるんですねw」

「本当だw」


 僕のブラジャー姿を見た彼女たちは、僕の自然な胸の膨らみに驚いていた。


 僕の胸は盛りブラのお陰で、トップバストが95センチとなり、乳房が「B」カップの大きさに底上げされていて、カップの内側から胸の膨らみが溢れ谷間を形成していた。


「あっ、これ? このは盛りブラで寄せてるのw 男の胸でも盛れるんだよw」

「え~w 本当は豊胸とかホルモンとかしてるんじゃないですかw」

「そんな事してないよw 嘘だと思うなら、見てみる?」

「えっ!見たい!見たい!」


 僕は、ここで恥ずかしがってはいけないと思い、女同士になったつもりで、なるべく躊躇ちゅうちょせずにブラジャーを外した。


「本当だ!本当に男の胸だ!」

「乳首が小さいし、全然膨らんでない!」

「でしょw 納得した? 盛りブラって凄いでしょw」

「本当w それ、見せてもらってもいいですか?」


 胸が大きい早耶ちゃんにとって盛りブラは必要ないモノで、ファッションに興味のない瞳美ちゃんは盛りブラの存在を知らず、彼女たちは僕のブラジャーを手に取り珍しそうに観察していた…。

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