第二話 春の出会いは少しだけ楽しみ
俺は大地に流れ込んでる【気】を読み取ると俺の掌から陣の紋章が浮かび上がる。俺は化け物の魂を持ってから武術と占いは出来るが退魔の術式や式神召喚が出来なくなった。
だけど、幸いにもその気の流れだけは化け物の魂を持ってから読み取る事が出来るようになった。退魔の術式や式神召喚が出来ない代わりの力。それは俺自身が独断で身に付けた技術。
「な、なんだこれは?!クソッ!巻き付かれて身動きが取れないじゃねぇかよ!!」
金剛 骸は体育館の床から生えてきた何かに取り押さえられる様に巻き付かれて拘束され身動きが取れなくなっている。周りの連中も唖然としている。
まぁ、無理もない。俺が今、使っている技術は退魔の術式や式神召喚でもない。ましてや妖術や魔法でもない。
物質を理解して、その物質を分解し、更に物質の再構築する技術。かつては卑金属を本物の純金に変えるのを目標にした技術。
人はソレを【錬金術】とよぶ。
誰もが知る錬金術とは違うが、俺の錬金術は気の流れの循環を読み取って物質の理解をして、分解してから気の循環の流れに反しない様に再構築する。
つまり、金剛 骸を拘束しているのは、ただ体育館の床を分解して気の循環に反しないように再構築して拘束させる様に変化させただけ。
「てめぇか?!あん?!俺をこんな変てこりんな術で縛り付けているのは?!」
「だとしたら?」
金剛 骸は俺を指差してブチギレ・ファイアーだが俺は煩いの一言だ。
「てめぇのその面を覚えたからな!俺をコケにした事を覚えておけ!このボケナス!」
やれやれ。まさかの逆ギレとはコレだからDQNは……
「ハイハイ。取り敢えず君は職員室に行こうね。」
「ちょっ!先公が俺に触るな!!離しやがれ!!」
金剛 骸は教師にズルズルと引きずられながら体育館を後にして俺は再び体育館の床を元に戻してから私立 御伽学園の入学式が始まったが寝ようと思っても寝れないので椅子に座ってボォーっとする事に決めた俺である。
退屈極まりない入学式を終えて退席した俺を含めた新入生達はゾロゾロと教室に戻る。偉い人達の話はどうも話が長くて肩が凝るし何回も欠伸が出たことやら。
てか、偉い人達の話の内容なんか、もう忘れたし。腹も減ったし。入学式が終わったらもう自由解散みたいだし。さっさと帰って昼寝でもするかな?
「カーズヤ!」
「うおっ!」
絵里が後ろから急にダイブしてきたから少しビックリした。ってか柔らかいモノが俺の背中に当たってる。
「一哉!お腹空いた~!!血ちょうだい!」
「あのなぁ~……」
コイツ。血を欲しがらなきゃ普通の明るい女の子なんだけどな。やっぱりヴァンパイアって嫌でも思い知らされるな。てか、甘くて引き寄せられそうな匂い。
「あとさ、一哉のあの魔法凄いね!あの金剛を黙らせるなんてさ!」
「なんだ?あのチンピラと知り合いなのか?」
「知り合いって言うか……魔界じゃ有名な不良だよ。喧嘩で何回も魔界ポリスに補導されたり、捕まったりされたか。強そうな人を見付けては1人で片っ端から挑んで喧嘩したり。それに金剛1人を相手に魔界ポリスを10人掛かりでも取り押えるのに苦労したらしいよ。」
「ふーん。折り紙つきの不良って事ね。」
今どき珍しい喧嘩三昧の不良。それは俺が生きている現在では、ひと昔前の不良。今の不良は集団で吊るんで1人の弱い奴を相手に集団でイジメ紛いの事をやる連中が殆ど。
そういう奴ほど1人になると何にも出来ないヘタレ。絵里から聞いた話。金剛はまだ現代の不良よりかはマシと思えるな。DQNには変わりはないけどな。
絵里は俺の右腕を絡みつかせる様に腕組みをしながら歩いているとトラが憎たらしいほどにニヤニヤしながら俺に寄ってくる。
「全く、お主も隅におけないのぉ~コノコノ~。」
「もう!トラちゃんったら!からかわないの!!」
「アレ?絵里とトラって知り合いなのか?」
どうやらトラと絵里は知り合いらしいけど全く接点が見つからないんだけど?どういう事だ?
「まぁ、簡単に言えば拙者が魔界を旅をしていた時に財布を落としてのぉ。3日間、飲まず食わずでいてら行き倒れてしまってのぉ。」
「行き倒れているトラちゃんを拾ったのが私なの。私の家に上げてご飯をあげたの。」
「いやぁ、あの時は助かったでござるよ絵里殿。」
「良いよ!困った時はお互い様だから!」
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