プロローグ
先生に案内されて面接室の前に立つ。少し緊張しているが大丈夫だ。何回も学校面接のマニュアル本を読んで立ち振る舞いやマナーを覚えたんだ。大丈夫だ。落ち着け、落ち着くんだ俺。
コンコン……ガチャ……
俺は面接室に入ると面接官が2人いる。名前を言う時はハキハキと元気よく言う事が面接官に好印象を与える。よし、言うぞ。
「失礼します。受験番号69番 アーノルド・シュワルツ・ネッガーです。」
やべ……昨日の金◯ロードショーでやってたターミネーター2見てた影響でついやっちまった……
「座りたまえ、アーノルド・シュワルツ・ネッガー君。」
まさかの面接官Aが乗ってきやがった。Take2はさせない気ですね。わかります。
「ところでT-800君は何故、この私立 御伽学園を受験しようと思ったのかい?」
面接官Bはもはや俺をターミネーターの名前で呼びやがった。
ここはこの学校の自由でノビノビとした個性を高めるという校風に惹かれて自分の良いところを伸ばそうと思い受験したから。と言えば完璧だ。もう失態は許されない。よし!言うぞ。
「学食が食べ放題だからです。」
アレぇ?なんでだろう?本音しか出てこないぞ。いくら面接さえ受ければ合格の学校もそんな事を言っちゃうと落ちるよね。うん。俺、オワタ。
「最後に君は、例えば人と人ならざる者が共存したり分かり合えると思うかい?」
最後の最後で真面目な話って言うのが可笑しいが何だか面接官は俺を試しているかの様な言い方だ。それに俺の正体を知っているんじゃないか?そんな気がしてならない。
だけど、コレだけは言える。
「人は自分と違う者を排除しようとする傾向があります。人と違うのは異物だからでございます。そんな事はないと言う人もいますが、それは綺麗事です。異物を排除するのは人間、いや細胞レベルでの本能だからです。しかし、自分と違う者を分かり合い共存するには時間は掛かりますが可能だと自分は思います。1人の力では微力ですが、力を合わせれば可能だと思います。」
俺が今、言える事はそれだけ。俺は化け物の姿になっても受け止めてくれた人がいる。1人でも受け止めてくれれば、そこが自分の居場所になる。俺の経験だな。
「そうですか。じゃあ、面接は終わり。そして合格おめでとう。4月から君も御伽学園の生徒だ。帰りに制服を採寸して帰りなさい。」
へ?なに?合格?4月から御伽学園の生徒?俺は面接官Aから言われた言葉に頭がポカーンとするだけだった。
てか受験って後日、合格発表が来るんじゃないの?
「ははは。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしているね。御伽学園は書類審査でほぼ合格したようなものなんだよ。それに、この学園は生徒を始め生徒達が人ならざる者。つまり妖怪や魔物が人間世界で共存していく為の言わば人間社会を学ぶ為の学校なんだよ。」
「なん……だと……」
姉ちゃん。俺はどうやら結構ヤバい高校に行くみたいだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます