プロローグ


「頂きます。」


俺は箸を右手にもち、左手にはどんぶりに盛られた特盛のご飯をもち朝ご飯をがっつく。味噌汁は、ほぼイッキ飲みしてオカズは、ほぼ丸呑みしてから沢山あった朝飯は10分足らずで完食した。


「もう、カズ君ったら!もうちょっと落ち着いて、よく噛んでから食べなさい!ご飯は逃げやしないんだから。」


「だって、姉ちゃんのご飯は美味しいから。」


「もう!仕方ないんだから!」


俺は抑揚のない声で真顔で言うと姉ちゃんは顔を真っ赤になりながらプイっと背ける。まぁ、姉ちゃんの飯は、その辺の店の飯よりか美味いのは確かだからな。


姉ちゃんは俺の食った皿やら茶碗やらを台所の流しに置いて洗い始める。何だか後ろ姿が、その辺の母ちゃんみたいだなって言うと俺の命が危ないので言わないのでおく。


「ねぇ、カズ君。」


「ん?」


「学校は楽しい……?」


「別に普通だけど?」


「そう……」


俺は素っ気なく『学校は普通』と答えるが本当は違う。本当は『学校なんてツマラナイ』って答えたい。でも、それは言えない。別に勉強が嫌いって訳じゃない。勉強は将来、役に立つかと言われれば役に立つものばかりじゃない。


だが、知識は覚えていて損はないと思ってる。知識は無いよりか有った方が何かの役に立つ。そして勉強は知識を得ることだけじゃない。知識を理解したり分からない事を分かろうとする努力が必要なんだと思う。


まず、将来において必要なのは出来ないことを出来るようにする努力が必要なんだという俺なりの考え。自分の知らない事を知るのは俺は、それなりに楽しんでいる。


でも結局、知識を手に入れるのは自分の興味があるか、興味がないかの差だ。


例えばオシャレだったり、音楽だったり、アニメだったり、車だったり、ゲームだったり、バイクだったり。


興味のあるものは知りたがる。今の世の中はインターネットで検索すれば、だいたいは見つかる。インターネットだけの知識が足りなければ専門書だったり。つまりは興味から生まれた知識こそが今までの常識を覆したと言われた。


過去にガリレオが唱えた地動説。ニュートンの万有引力。杉田玄白の解体新書。


この人達は今までの常識を覆し、また新たな発見によって今の世の中の常識が成り立っている。


簡単に言えば俺は勉強が嫌だから学校がツマラナイんじゃない。


俺は中学の制服をさっさと済ませて家の玄関を出て学校に向かう。段々と冷え込みが強くなる11月。北風も強くなり木々の葉っぱは茶色く染まり風で落ちていくのがわかる。


教室に着くと時期が時期なのかクラスの連中は教科書やら参考書などを机に広げてはノートやルーズリーフに書き込んでいる。教室の中は何やら少しピリピリとした緊張感で漂ってる。


中には特に勉強しない人もいる。その人達は運動部で大会の成績を残しスポーツ推薦で高校に進学する人だったり、本当に受験に対して危機感が無い人だったりする。


教室に着くとクラスメートの友達に『おはよう』だったり『今日めちゃくちゃ寒くね?』だったり楽しく話し出すクラスの人達。


だけど誰1人として俺に話し掛ける人は居ない。むしろ挨拶なんてしてくれない。


俺が学校がツマラナイのは、その理由。


友達が誰1人としていないから。もし、クラスに居ても俺は常に空気だ。


いや、友達がいないんじゃない。俺自身が友達を必要としないから。


クラスで空気になっているのは自分から存在感を隠し、このツマラナイ学校生活が終わるまでの日々を地味に静かに過ごしたいだけだ。


俺は机に座わっても誰も俺を見ようとしない。結局は人間、自分が興味がないものには見向きもしないからなんだよな。


教室に暖房がついてるお陰か暖かさで眠気がするけど今は寝ないでおこう。


受験が近付いているのに寝ているとクラスの連中から変に間に触られて反感を買ってしまいそうだから勉強している人の振りをして今は歴史の参考書を読んでいる振りしている事だな。


俺は鞄から歴史の参考書を読んでるふりをしているが、かれこれ何回も読んでしまっているから内容なんて覚えているが残り4ヶ月足らずのツマラナイ学校生活を平穏かつ無事に終わらす為には今は、これでカモフラージュだな。


すると、予鈴のチャイムが鳴り担任の先生による主欠席の確認をすると退屈で俺には時間の無駄としか思えない授業が始まる。


あぁ……昼寝したい。



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