第2話 そんなの納得できないよ
フク爺の家にみんなが集まり話し合いになった。
幸いタヌ男は一命を取り留め、いまは止血して眠っている。
残念ながら雪が降っていたせいで犯人の足跡はわからなかった。あたしがもう少し早くタヌ男を見つけていればわかったかもしれないのに……そう思うと悔しくてたまらない。
このまま犯人探しになるのかな、と予想していたらフク爺が「みんな、この件に関しては忘れなさい」といって狐耳を疑った。
「どうして⁉ だってあんなの、どう考えても――――」
誰かがやったとしか思えない。
その言葉はヴォルフさんに睨みつけられ飲み込んだ。
「コンや。お前の言いたいことはわかる。じゃが、食料を分け合わねばならんこの時期に疑いあうのは得策ではない」
「でも……」
「わかるね?」
フク爺の口調は優しかったけど、それは有無をいわせない迫力を伴っていた。
「……うん」
「お前は賢い子だ。さあ、みんな。お家へお帰り」
ぞろぞろとみんながフク爺の家を出ていく。
「コンちゃん……帰ろう?」
リス美があたしの足を引っ張って、不安気に見上げてきた。
「ん……ごめん。帰ろうか、リス美」
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