第28話 私たちはGW⑦

 そして午後練がやってきた。午後練…いや、夜練は他校との合同練習。ラクタブのサブプールを長水路設定にしてもらってやる練習だ。


「せいごー!」


この中で一番実力のある南陽の掛け声に合わせて壁を蹴る。午前中とはうってかわって水が温かいので、午前中はあんなにへばっていた男子たちも元気を取り戻していた。


 そして、いい感じに身体も疲れて練習が終わった。南陽の人たちは私たちが疲れてヘロヘロになっているのに、まだプールの中で騒ぎまくっている。


「奏、大丈夫?」

「あぁ、とりあえずこれでどうにかなってる。」

「あとで巻き直してあげるから、ちょっと待っててな。」

「てんきゅー。」


プールサイドに上がってきた加太先輩に声をかけている楓さん。見れば加太先輩の親指には、昼休憩のときにはなかった絆創膏が巻かれている。


「加太先輩、どうしたんやろ?」

「あぁ、あれはフィン履いて浮くヤツあったやん。そんときに白野先輩とペアやってんけど、押し方ミスって爪浮いてんて。」

「うわ痛っ!その状況で50mは泳いだってことよな。」

「そゆこと。本人もまさかそんなことになってるとは思わんかったみたいやけど。」


幸いにも怪我人はそれだけだ。他はみんな、疲れているけどピンピンしている。


「外集合なー!」

『えーい!』


龍神先輩からそんな先生からの連絡を受けて私たちはプールを後にした。


 着替えてプールのエントランスの前で集合する。


「えーっと、明日の練習は何時からですか?」

「明日はoffがいいです。」

「…何時ですか?」

「offにしてください。」

「…何時?」

「offで。」


江住先生と由良先輩のそんなつまらないやり取りにも笑えるくらいには疲れているみたいだ。


「じゃあ明日8時半。今日の疲れもあるやろうけど、明日も頑張るで。じゃあさよなら。」

『お疲れ様っしたー。』


今日の練習が終わってとりあえず解散。夜の帳がもう完全に降りきったプール前を歩きながら、門真南の駅の方に歩いていく。


「ふわぁぁぁ」


隣の真奈は眠たそう欠伸をしながら、半分本能的に歩いている。ほかのみんなもそんな感じだ。


 こんな感じに見えて、まだGW1日目。こんな練習があと2日続くのだ。


 電車に乗った私は、シートにすぐに座って目を閉じる。真奈につられてか、私も少し眠くなってきた。真奈はシートに座るなり、すぐに寝息を立てていて、もう熟睡している。


 私も次第に視界がぼやけてきて、すぐに眠りの海に飛び込んでいった。

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