第27話 私たちはGW⑥

 さて、午前中の練習が終わって、次の練習までの間時間。その長さ、3時間だ。


「って訳で、このメンバーって何や?」

「何やろなぁ。」

「何ですかねぇ。」

「さぁ。」


揃ったのは加太先輩、楓さん、憲士、そして私。常翼学園のプールで最後まで残っていた私たちが、みんなに置いて行かれたって感じだ。


「真奈ちゃんは?」

「さぁ。ミコたちと一緒やと思います。」


真奈たちに置いて行かれた今、このメンバーで過ごすしかないようだ。


「とりあえずどこ行く?」

「ガモヨンのあそこでいいんちゃう?安いし。」

「たしかに。後でどうせ長堀乗るんやし。」

「お2人にお任せします。」

「私も憲士と同じく。先輩たちについて行きます。それに、そこなら私、クーポンあるので。」

「んじゃ行こっか。」


近くの公園で持ってきた弁当を食べて、私たちは遊具で遊びながら、次に行くところを決めた。次の集合まではあと2時間ほど。移動も含めてだいたい1時間半くらいある。


 水着とか道具とかが入ったバッグを持って、最寄りの駅、太子橋今市に向かう。ちなみにガモヨンというのは蒲生四丁目のことで、大阪人はガモヨンと略すのだ。


 今里筋線に乗って、ガモヨンに着いた。


「どっちやったっけ?」

「上がればつくやろ。地上に上がってみよ。」


そうやって上がってみると、ちょうど目当てのところに1番近い出口だった。


「やった。1番近い!」


目当ての場所というのはMの文字のところ。ここならしばらくは過ごせるし、値段も抑えられる。ちなみに真奈たちはハンバーグを食べに行ったみたい。写真が送られてきた。


 店内に入って、とりあえず席を確保する。


「憲士は何食べる?」

「んー。この限定のパイかな?杏は?」

「私も一緒。ちょうど2個のクーポンあるから私買うわ。飲み物は?」

「日向夏のやつ。」

「りょーかい。」


楓さんたちが買いに行っているあいだ、荷物の番を任された私たちは、買うものの相談をしていた。


「んじゃ、お金は俺出すわ。」

「え?いいん?」

「クーポン使わして貰ってるんやし。お金くらいは出すで。杏は何飲むん?」

「私は…ホットコーヒー。」

「りょーかい。」


そう言って、私のスマホを持って買いに行ってしまった。


 完全に手持ち無沙汰になってしまった私は、3人のバッグを見て待つ。すると楓さんが帰ってきた。


「あれ?憲士くんは?」

「私のスマホ持って買いに行ってしまいました。」

「あ〜、そゆことね。クーポンか。」

「まぁ、お金は出してくれるって。」

「へぇ〜、まぁ、私もやけど。」

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