第36話 DAY29②

※この内容は未成年の飲酒を推奨しているものではありません


※※※※※※※※※※※※※※


「えへへぇ、さくらひゃん、いいにほーい!」

「やめて、きい、アハハハハハ!」

「ちょっとー、あたしだけのけものにするなぁ!」


止めればよかった。私がこの3人を止めれば良かった。


〇〇〇〇〇


1時間前のこと。


「みんなぁ、ウイスキーボンボンと日本酒ボンボンあったよ!」


きいがキッチンから箱を2つ持ってくる。ウイスキーボンボンは少し高級そうな箱に入っていて、日本酒ボンボンは、和歌山のお土産だろうか。机の上にバンと置いて、2つとも開けた。


「みんなの親はお酒強いの?」


一応訊いてみよう。遺伝的なこともあるしね。


「ママは酔ってるのか酔ってないのか分からないけど、パパは強いよ。」


そう答えたのはきい。少しでも父親の血が入ってるのが望みかな?


「私の家は2人とも強いよ!」


楓の家は2人とも強いのか。なるほどこれはいけそうだ。


「私の家は2人ともあんまりかな?まぁ、沖縄旅行でオトーリして最初に潰れたとか言ってただけだけど。」


桜、それ弱くないよ。オトーリに参加してるだけで勇者レベルだよ。


「じゃあ食べよー!」

『いただきまーす!』


〇〇〇〇〇


そして、現在に至る。


 はっきり言って地獄絵図だ。きいは桜に抱きついてるし、桜は笑い転げている。それを見て、楓は除け者にされたと思ったのか、泣きながら2人を押し倒している。私だけがシラフだから、どうにかしないと。


「3人とも、恋バナとかしない?」

『恋バナぁ?』


なんか睨まれている。私のお泊まり会のイメージだったんだけど…


「私はぁ、ずっと久志と一緒に住んでるやん。」


そう話を始めたのは桜。


「久志はぁ、私がぁどれだけ甘えてもぉ、全然顔真っ赤にするとか無いんだけどぉ。なんでぇ!」

「あれ、そういう目的でやってたの?」

「そういうんじゃなくて、からかいたいだけ!」


あー、次のとき、『好きぃー!』とか言っちゃうパターンだ。それで顔真っ赤にして、爆発しちゃうやつ。


「じゃあ、楓はどうなの?」

「私はぁ、あれ?なんにもないや。」

「奏っちとかおるやん、どうなのよ?」

「奏はぁ、仲良くやってるけどぉ。たまにご飯一緒に食べたり、遊んだり、看病して貰ったり。」


付き合っちゃえよ、もう。


「私はぁ、そういうのは無いかなぁ、ひい君ともただの幼馴染ってだけだし。」


このパターンも次のとき、『好きぃー!』だな。次は戦争が怒らないことを祈ろう。


「音羽ちゃんはぁ?」

「そうよ!私たちばっかり話させて、ズルいわ!」


確かにそうだね、私はといえば…


「カレンかぁ、夏休み中一緒だったけど、そういう気持ちにはならなかったかな?」

「なんか面白くなーい!」

「ごめんね、面白くなくて。」


日本酒ボンボンを1個つまむ。私的にはこっちの方が美味しいから好きだ。気づけば、3人とも夢と現実を行き来している。


「3人とも、もう寝ちゃって明日早起きしよ!」

『ん〜。はぁーい。』


3人とも目を擦りながら洗面所に降りていく。こりゃあ、寝転んだらすぐに寝そうだな。


 お風呂には恋バナの前に入ってるから、布団を敷いて寝るだけ。布団を敷いたら、倒れ込むようにして4人で並んで寝た。

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