【短い話】ドレミのかいだん①~学校にいけなくい思いをかかえた子、泣かないで~
第15話 ドレミのかいだんというパズルを完成させる1つのピースが、シド先生だったんじゃないか?と、思ったら、先生は…。大人は、無責任です。
第15話 ドレミのかいだんというパズルを完成させる1つのピースが、シド先生だったんじゃないか?と、思ったら、先生は…。大人は、無責任です。
何かが、子ども心に、引っかかった。
「シドせんせい…。シド…」
ああ!
どうして、こんなに簡単なことに、気付けなかったんだろう?
シド…。
シド…。
奇跡だ。
シド先生は、ドレミのかいだんというパズルを完成させる1つのピースなんじゃないか?
ドレミ…ファ、ソ、ラ、シ、ド…。
シド先生は、次の週も、彼女の家に、見まいにきてくれた。
「…先生?どうぞ」
母親は、母親のほうから買ってきた、新しいチーズケーキを、ふるまった。
「せんせい?おいしいね!」
「ああ」
チーズケーキを食べて、彼女の身体は、大きくなった。
体重も、増えた。
彼女は、元気になってきたのだ。
「たいじゅうけいさん、ありがとう」
シド先生とのシーソーゲームが、続く。ドレミが、太れば太るほど、シド先生は、細くなっていった。
「ねえ、せんせい?」
「ああ…」
「せんせいって、小さくなってない?」
「ああ…」
それが、最後の言葉に、なってしまった。
大人は、いつだって、子どもを置いて、消えていくんだ。
「子どもは、無責任だ」
違うよ。
大人だって…。無責任だよ。
彼女が顔を向けたときには、もう、シド先生の姿は、なかった。
母親が、2階にある彼女に部屋に、やってきた。
「ちょっと、ドレミ?」
「…」
「先生は?先生は、どこに、いっちゃったの?」
「わからないよ」
「わからない?」
すると、机の上に置いた、角煮の置物が、彼女に、何かを語りかけようとしてきた気がした。
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