第11話  熱が出て、チーズケーキにおそわれる夢を、見てしまうとは!見まいにきてくれた友だちが帰っていったあと、母親は、何てことを、言うんだ。

 「ピピピ」

 「ボボン」

 ゲリラ豪雨に、やられていたからね。お互い、それぞれの家に帰ったときには、熱が、38度を超えていた。

 「…ただいま」

 「どうしたの、ドレミ?びちょびちょ!」

 「うん…」

 「1人で、出かけていたの?」

 「…うん」

 ソノミちゃんの名前は、出せなかった。

 ぐっしょりと濡れた彼女を迎えた母親の気持ちは、どんなだったろう?

 「大人には、子どものことはわからない」

 そうはいうけれど、気持ちをわからなくさせているのは、子どものウソが、大人を惑わしているからだという考え方もできる。倍速視聴の、世代間ギャップのよう。

 「おかあさん?あめのなかで、おばあさんを、ろうじんホームにあんないしていたら、びちょびちょに、なっちゃった」

 「…」

 熱は、ちっとも、治まる気配がなかった。

 「シーソーゲームって、むずかしい。おかあさんのいっていたいみが、わかってきた」

 その夜…。

 彼女は、とんでもない夢を見てしまった。

 「学校にいく途中か、学校から家に帰る途中の道で、チーズケーキにおそわれる夢」

 熱は、なかなか、引いてくれなかった。

 翌日、学校にはいけなかった。

 家で、休んだ。

 「…ドレミちゃん?へいき?」

 「…へいき」

 「ほんとうに?」

 「…たぶん」

 「たぶん?」

 「しんぱい、だよ」

 彼女の家に、ソノミちゃんなど、何人かの友達が、見まいにきてくれた。

 「じゃあね」

 「ばいばい!」

 皆が帰っていくと、母親が、ある不思議なことを言い出した。






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