第6話 時代の流れ、時代の流れって、いうけれど…。時代の波に乗れずに、取り残された人たちは、心臓、ばっくばくなんですよね。

 「ソノミちゃんは、どう、おもう?」

 「ドレミちゃんは?」

 「なにがおかしいのか、わからない」

 「わたしも」

 小学生女子は、倍速視聴の文化の中で、生まれてきた。良いも悪いも、感じられない。

 この世代も、社会に出て、つらいだろうな。

 もちろん、すべての若い子が、倍速視聴をしているわけじゃない。

 「行間を読むことって、大切だよな」

 そう言ってくれる人も、いるから。

 時代の流れ、社会の流れの波は、止まない。

 「映像の最初から、ずっと、早送りです」

 「俺も」

 「私も」

 「最初と最後がわかれば、良い」

 「タイパ(タイムの、パフォーマンスのこと。タイツとパンツのことじゃあ、ないぞ。っていうか、パンツも死語になりそう。じゃあ、ショーツでいく?)が、大切でしょ?」

 「コンテンツは、効率的に消化すべき」

 「状況が変わりそうかなと思ったら、通常の速度で再生し直せば、良いんじゃない?」

 この考えが深まったのは、きっと、ユーチューブなどで、倍速視聴やスキップ機能が付いたからなんだろうな。

 「技術の進歩は、人の生き方を変える」

 それ、予想できていましたか?

 忙しい人に親切にしてあげたいっていう思いが、意外な結果を、生む。CMを作ったりする人たちは、困っているだろうな。

 「早送りしてでも、何を言っているのか、わかるようにしました。これも、時代の流れですから…泣き」

 時代の波に乗れなかった人たちは、心臓、ばっくばくなんですけれどね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る