第3話 あのキーホルダー、ゲットしたかったのになあ。こうなったら、ソノミちゃんという友達とおしゃべりをして、気分を晴らそうじゃないか!

 大人は、子どもの気持ちを、わかっちゃくれない。

 「プシュー…」

 店の入り口の自動ドアが、横に広がり…。

 「面白いものが、買えた」

 同じ、小学生かな?どこかの男子が、母親と思われる女性と並んで、店外に、出てきた。

 「ちょっ…。あれって、もしかして!」

 その男子の手には、輝かしいキーホルダーが、握られていた。

 「ラス1は、思わず、買っちゃうよな!」

 「ほら、ほら。その、角煮のキーホルダー…。落とさないように、気を付けなさい」

 「お母さん、ありがと。気晴らし、ゲットだぜ!」

 …なんですと!

 彼女には、我慢、ならなかった。

 「ちょ…。きばらしな、レベル?」

 悪いことは、続いた。

 それから、数週間がたっても、その肉屋には、豚の角煮のキーホルダーが、入荷されなかったのだ。

 「…それなら、豚の角煮のキーホルダーを入荷してくださいって、店の人に頼めば、良いじゃないか」

 大人は、言うだろう。

 わかっていないよ。彼女は、言えなかったんだ。

 肉屋の大人な店員に、笑われそうだし。

 大人は、何も、わかってくれない。

 モヤモヤとした気分を、晴らしたかった。友達、ソノミちゃんのことを、考えていた。

 彼女とソノミちゃんは、気が合った。

 保育園の年少のときから、ずっと、親友だった。

 「きのうも、たのしかったなあ」

 追いかけっこが終わると、小学校の校庭の芝生に座り込んで、おしゃべり。

 ちな…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る