二客目

第6話

「棗先生、どこ行こうとしてるんですかー...。いい加減書いて下さいよーーーーー。」


年下女作者に敬語使うのは正直言って不服だ。俺はもう36歳。そろそろ一発当てて連載として活躍して欲しいんだよ。じゃないと歩合制で俺の給料が、俺の生活がキツい。

下北に用事を作ったとかわけのわからない事を言い、着いてきてと言われ、ホイホイ着いてきた俺がバカだったか?

そろそろこの女先生とおさらばして、新人発掘の旅(?)に出ないとなあ。抱えているもう一人の男先生なんてアドバイス全無視で書いちまうから困ったもんよ。


「ついたわ。ここの半地下。」


指差した雑居ビルのその地下へと通じる階段の横に目立たない程度の看板がある。


「へぇ、棗先生こう言うところが好きなんすか?」


「いいえ?でも半地下の目立たない紅茶屋なんてなんかいいアイディア出そうでしょ?」


「ん。まあ、良くカフェを題材に『異世界でカフェ開いてみたら王国に招待されちゃった★』とかありますもんね。」


「なにその売れなさそうなタイトル。だっさ。」


20代ぃいいいいいいいい!!!!!!!

クソクソクソクソ!!!

第一作のタイトル思い出せよ!!!何が

『マスターと呼んでくれる王子様に出会った私は売れっ子の踊り子』だよ!!!!ごちゃごちゃしてるし割と序盤からマスター呼ばなくなるし、あとアレだ!!!白鳥の湖が奏でるメロディってなんだよ!異世界モノのくせに現代のモノ持ってきたら変だろ!!!そういう転生モノなら許すが異世界じゃん!!!

この女、今度のタイトルまたヘボだったら担当から外れっからな!!!


とにかく俺はこの女にイライラしている。言うことは一人前、できる本の内容は素人に毛が生えたレベル。激おこぷんぷん丸(死語)だぞ!!!!!

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