第4話

「結婚しよう」


はい?

あれれ?


「実はパチンコ行くって言ってたのは嘘で、その...式場回ったりしてたんだ。」


「どういう、え?」


「ちゃんと全て決めてから話そうと思ったんだけど、あまりにも不誠実、だったよな。すまん。」


ヒロはサプライズが好きだ。


「百合が、大事だから、俺は。」


ヒロは口下手だ。


「なんて言うか、色々そっち忙しくて、構ってやれんくて。」


ヒロは不器用だ。


「さっき指輪出来ましたって、メール貰ったから。」


ヒロは、誰よりも愛情を注いでくれる。


「だから、ここ終わったら取りに、行くんだけど。」


ヒロは...。

いや、ヒロが、

尋葉がいると...。


「一緒に来ないか…?」


なんて不器用な人なんだろう。なんて素敵な人なんだろう。なんてアタシは愚かだったのだろう。尋葉が、そんな酷いことする人じゃないって、理解しきれていないアタシがバカだったんだ。


「お待たせいたしました。チャイティーラテです。」


一輪の花も一緒におぼんに乗せて持ってきた。


最初に紫の可愛らしい花をテーブルの真ん中に。次に尋葉に、最後にアタシにチャイティーラテを出した。


「この花は?」


アタシは指差して聞いた。


「ヒロハノレンリソウというものです。スイートピーみたいで可愛らしいかなと思いまして。ではお寛ぎ下さい。」


一口飲んだ。甘みがある。ちょっとだけスパイシーだけど、甘さが多い。


「甘くて美味しいね。」


「あ、ああ。甘い。甘いのはそんなに得意じゃないが、これくらいなら飲める。」


「ちょっと、聞こえるよ!」


「すまん...。」


私たちは微笑みながらお互いを見つめあった。

アタシは気まずさに尋葉のニンニクワッフルを食べたけど、味は良くわからなかった。恥ずかしさのせいかな。

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