第3話
本当に罰が悪いと右腕をかく癖がある。チラッと視界から見えた。
アタシは顔を上げてちょっと姿勢を正した。
「ヒロ。アタシ、ヒロのことは好きだよ。でも今後のことを考えると凄く不安なの。パチンコ行ってるってことはお金貯めてないと思うし、40までには考えるって、もし子供が欲しいってなったとき高齢出産になってアタシも赤ちゃんも大変なんだよ?ヒロが真剣にアタシのこと考えてくれていると思えないの。」
ヒロは水を飲んだ。コップを置いた。どうしたものかと目線は下の状態で右見たり左見たり。そこでバシッと「お前を幸せにする!!」とか言ってくれたらキャー!!!ヒロかっこいー!!ってなるけど。...でも現実的にこの状況、どう考えても別れる感じかなあ。
「金は貯めてる。」
え?そこでそれ?
「300はある。」
は?300?やば。じゃなくて、お金じゃ愛は買えないの!!!
「そういう問題じゃないの!」
そうそう、いいぞアタシ。お金は大事。これまじ。でもそういう問題じゃない!
「ヒロ、ヒロはアタシが、本気で、好きなの?」
鼓動が凄い。なんだろ?半分「結婚して下さい」って言ったような謎の緊張感。そして即答しないヒロ。
お店のBGM小さいのと静かめなジャズだから変な緊張感が増大していってる。
やだ、考えてないとかそこまでとか言われたらどうしよう。
不安に掻き立てられて居ても立っても居られない。
「お先にワッフルをどうぞ。彼女さんはラズベリー、彼氏さんは変わり種でニンニクを練り込んだ生地です。主食感覚で食べるとニンニクワッフルも美味しいですよ。」
ふふっと笑って店員さんがテーブルにふたつのお皿を置いてくれた。添えつけられていたナイフとフォークを手に取り、一口食べた。
「おいしぃ...。ラズベリーなのにしつこくない甘酸っぱさ。」
ヒロも自分のワッフルを食べている。
「まあ、そうだな。」
やっぱり間違いだったかな。ばっちゃの言うことはちゃんと聞くべきだったのかも。
「百合。ごめん。正直に話すわ。」
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