第11話 また1から!?
「えっと……それではシュリオ様は、他の町から来られたばかりなのですね?」
こくりと頷く俺。
可愛らしい受付嬢はドロテアさんというらしく、さっきの酔っ払い冒険者には頻繁に絡まれていたらしい。
「そうなんだ。ちなみに彼女はエルヴィ・ハネミエス。この町で冒険者を目指すつもりだから、よろしく」
「よろしくお願いします、です」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。
ドロテアさんはすぐに登録用紙を持ってきてくれ、
「それでは、まずはこちらに記入をお願い致します。記入が終わりましたら、その後は冒険者になるための実技試験へと移ります。装備一式は貸し出し可能ですので、ご安心ください」
「わかった」
「では次に、シュリオ様はなにか依頼をお探しということで」
「ああ、なにかソロでも受けられるのがあるといいんだけど……」
「そうですねぇ、ちょっと探してみます。まずは冒険証をお預かりしてもよろしいですか?」
そう言われて、俺は自らの冒険証を彼女に渡す。
冒険証は冒険者ギルド連盟に登録しておく証明書のようなもので、これがある限り冒険証はどんな町でも依頼を受けられる。
また冒険証としてのランクも記入されるので、新たにパーティを探す場合にも役立つのだ。
そんな冒険証を渡した俺はしばらくカウンターで待っていたが、しばらくすると照会のために奥へ行っていたドロテアさんが戻ってきた。
「えっと……シュリオ様、大変申し訳ないのですが……」
「うん?」
「シュリオ様の冒険証……どうやら連盟の登録から抹消されているようなのです」
「え…………ええええええっ!?」
あまりに予想外の事態に、俺は奇声を発してしまった。
ドロテアさんはとっても申し訳なさそうな顔をして、
「どうにも、数日前に他の町で申請が行われていたようでして……。登録抹消の申請者の名前はゲイツ・ブッチと……」
あ、あの野郎……!
報告しといてやるって、こういうことかよ……!
ゲイツが俺を崖から蹴り落とした時の台詞を、今更ながらに思い出す。
まさか登録が抹消されているとは思いもよらなかった俺は、流石に頭を抱えた。
「えっと……登録抹消の取り消しなんてのは……」
「い、一度認可が下りてしまうと、もう取り消しというのは……」
「ですよね……」
どうしよう。
いや、どうしようというか――こうなったら、もうやるべきことは一つなのだが。
「それじゃあ、シュリオ様も一緒に冒険者の試験を受ける、です」
エルヴィが言った。
そう――そうなのだ。
もうそれしかない。
「エルヴィ……。ハァ、そうだよな。やるしかないか」
「シュリオ様と一緒に冒険者を始めるなんて光栄、です!」
「すみませんドロテアさん、俺も試験を受けます。また一から出直しだ」
「お力になれずすみません……。で、ですがこのドロテア、心からお二人のことを応援させて頂きます! ファイト!」
目一杯エールを送ってくれるドロテアさん。
ま、いいか。
あらゆる意味で心機一転、再スタートを切ると思って頑張ろう!
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