第4話 母の傷み苦しみ絶望


「りょ~か~い。」


もう面倒だからチャラ男のオススメで良いや。


「まずはシャンプーなぁ~…ってか、お前の髪の毛はクセ毛だからなのか随分と傷んでるよな。」


「かなり頭を洗うときに引っ掛かるな。」


俺はゴシゴシと頭を現れてから適度に乾かして髪を生乾き状態にしてからチャラ男は髪を切り始める。


「んで。俺のオススメなんだけどな。ツーブロックにするわ。トップは鋤くくらいでサイドは刈り上げてって感じで。」


「まぁ別に構わない。」


「じゃあそれでやるぜぇ超やるぜぇ。」


「はいはい。」


それから1時間ちょい。髪は切り終わりツーブロックと言われるサイドの刈り上げとトップは殆ど切らずに鋤きバサミで鋤いただけの髪型になった。


何か髪を切ると結構なくらいに頭が軽くなるよな。


「有り難うよ。2000円だっけ?」


「そうそう。ちょうど2000円な。毎度あり。」


そしてお会計を済ましてハットを頭に被り斑と店を出ようとした時に誰かスタッフルームて書かれたドアから出てきた。


「あれ~悠希君じゃん?久し振り~」


「あぁ…佳代(かよ)ちゃんか。そう言えばチャラ男と結婚したんだっけ?」


「もぉ~…そうだよ。何年前の話をしてるのよ?」


「それに…佳代ちゃん。お腹だけ太った?」


「ち、違いますぅ~…こ、これは…」


と佳代ちゃんは顔を真っ赤にしながらゴニョゴニョと何を言ってるのか分からない。


「悠希。俺はパパになるんだよ~」


「もうマッキー!恥ずかしいじゃない?!」


なんだろう…急に俺だけが取り残された感覚。ってか職場でイチャイチャすんなよ。


「そうか。産まれたら出産祝いくらい出してやるよ。」


「あぁ~それは有り難いわ。助かる助かる。」


「随分と露骨に現金な奴だな。」


「でもさ。その前によ…」


「どうしたんだ?」


「どうした?」


チャラ男は珍しく真面目な顔をしている。いや本当に珍しいんだよな。アイツはいつもチャラチャラしてる能天気野郎だからさ。


「なぁ…悠希。最近なこの辺りが物騒でよ…」


「物騒?」


世の中はいつの時代も何かと物騒だがこんな俺の住んでる場所にも物騒な事が起きてるとは…とても他人事とは思えない。


「実はここ1ヶ月で子供を身籠った女だけに起こる謎の死体がここら辺で起きてるんだよ…」


「身籠ったって妊婦だけが謎の死を遂げているのか?」


「あぁ…何故だか知らないけど本当に身籠った女だけなんだよ。」


「ちょっと詳しく聞いても良いか?」


「おう…さっきも言ったけど、この辺りを中心に女が謎の死を遂げている。そして女達に共通しているのは赤ん坊を身籠ってた事だけ。聞いた話じゃあ特に病気とかしていなくて死んだ女達には外傷もないっていう噂だ。」


「って事は亡くなる直前までは元気で突然亡くなったって事か…」


「だからよ。佳代も赤ん坊を身籠ってるから下手に外に出したくなくてよ…もし佳代に何かあったら俺は心配で心配で…」


チャラ男は下を俯きながら大切な家族を失うという恐怖と悲しみが頭によぎっているのか。あまりにも怯えている。


「そうだな。大切な家族を失うのは1番辛く悲しく怖い事だなチャラ男。」


「悠希…」


「それに何かお前の話に引っ掛かる事があるんだ。」


「引っ掛かる事?」


「あぁ…確証があるわけじゃないが調べたい事がある。心霊探偵としてな。」


「悠希…」


「まぁ、心霊かどうかは分からないが調べてはみるよ。」


「有り難うよ!悠希!依頼料は俺の熱いキs…」


「それは要らねぇよ。」


俺は店の扉を開けて日差しが照り付ける太陽の中で斑と一緒に歩きながら話し合う。


「なぁ…斑。」


「うむ。アタイの予想が当たって無ければ良いのぉ…」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る