第4話 母の傷み苦しみ絶望


「ん?なんだよ?まだ何かあるんかよ?」


全く。用が無かったらマジで怒るぞ?俺。


「まぁまぁ。これをあげるわよ。」


「ん?」


母さんはポケットから取り出したのは銀の装飾をした花柄の指輪だ。おいおい男が花柄の指輪をするって恥ずかしいじゃねぇか。


「これはきっと悠希の除霊の仕事に役に立つわよ。」


「そうなのか?」


って言われても使い方も分からないし俺はどっちかって言うと母さんから逃れてフラフラしたいんだけどな。


すると母さんは自分の左の中指に指輪を通す。


「まずは聞くより見た方が早いわね。お前の心!アン☆ロックッ!」


「何かどっかで聞いた事あるフレーズなんですけど…ってなんだよ?!コレ?!」


「うふふ…コレは私が除霊師になったと同時に宝具として作って貰ったもの。名前はシルバー・プラント-銀色の植物-よ。」


「ちょ…何で?!なんで手から植物が生えてるの?!」


そう。母さんから指輪を中心に植物が生えてきている。蔓から枝に花。それは色々と様々な種類であるけど何だか気色悪い…


「これは主に触れた者の心を念写だ。」


「念写?」


「そうまずは私の左手から生えている植物を触れさせる。」


すると母さんは俺の胸に植物を触れさせる。


確かに使えそうなんだけど…早く母さんから逃げて髪を切りに行かないでフラフラしたいんだよな。


「そして何か念写が出来そうな物を植物に触れさせる。」


母さんは適当にメモ用紙を見付けて植物からメモ用紙に触れさせる。


するとメモ用紙から文字が浮かび上がった様だ。


「へぇ~…ほうほう…」


何か母さんはメモ用紙に浮かび上がった文字を見るなり眉間にシワを寄せては青筋も浮かび上がる。


物凄い嫌な予感…


「へぇ~…アンタ『早く母さんから逃げて髪を切りに行かないでフラフラしたいんだよな。』って思ってたんだ。」


「げっ…」


やべ…ちょうど植物が触れられた時にそんな事を思ってたんだっけな。


「悠希~…」


「は、はい。ななな何でしょうか?お母…様?」


「私から…」


やべぇ~…やべぇよ…コレは完全に切れてるもん。正に鬼ババだよ。


「私から逃げようなんて100年早いわぁぁあああッ!!」


「Oh!Noooo!!!」



「痛たたた…母さん。この年齢でよくあんな荒技が出来るな…」


俺が母さんに掛けられた荒技はタワーブリッジだ。アレはクソ痛いぜ…腰が逆パカするかと思ったぜ…あ~痛たたた。


「全く。葉子から逃げ出そうとするからそうなるんじゃよ悠希。」


「はいはい。そうですかぁ。」


因みに斑が居るのは俺がちゃんと髪を切りに行くか見張りのために斑が着いているんだ。全く抜け目がねぇよな。


「そのボサボサの不潔ロン毛頭をスッキリしてもらえ。」


「煩いなぁ…」


そして俺と斑は行き着けの美容院に到着。美容院の店長が俺の友人でな。フルコースで切ってもらっても安く済ませてくれるからさ。


俺は美容院の扉を開けると内装はまさしく女の子以外は来るなと言わんばかりのオシャレな雰囲気の内装だが正直、男でオッサンでも入っても良いらしい。


「よぉ~悠希じゃん?お久~元気にしてたか?」


「相変わらずチャラそうだなチャラ男。」


「おいおい。チャラ男じゃねぇよ真喜男(まきお)だよ。真喜男。」


このチャラチャラとした男が俺の友人であり、この店の店長の真喜男。見た目がチャラチャラしてるからチャラ男だ。


「まぁまぁ座れよ。今日はどんな髪型にするんだ?」


「適当に…」


「あのなぁ~…適当が1番困るんだよ適当が。女の子みたいに何でも良いとか適当にとかって宛にならないんだよ~。」


「俺は男だ。本当に適当で良いから。」


「あのなぁ~…」


「じゃあ、お前のオススメで。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る