第3話 幽霊船


「悠希…」


「あぁ。刹那が言っていだ夢を見れる宝゙だろ?」


「うむ。」


俺と斑は彼女に聞こえない様に離れた場所で壁にもたれ掛かる様に小さな声で内緒話をする。取り敢えず暇だから煙草を取り出して煙草を口にくわえて火を着け一服する。


「じゃあ僕にその部屋を教えてくれるかな?」


「うん。牧師さんにその部屋を教えるね。」


どうやら話は決まった様だな。刹那は立ち上がり振り向いて俺と斑にアイコンタクトをする。ムカつく程のドヤ顔でな。


俺は煙草を床に落として靴で煙草の火を踏みつけて消してから彼女の案内のまま刹那と斑と一緒に゙宝゙のある部屋に足を運ぶ。


俺達が案内されたのは船の地下らしき場所でまだ俺達が行っていない場所だった。やはり今までと来た場所と同じ内装だが何か静か過ぎる。


もともとこの幽霊船に上がり込んでから静かだったが彼女に宝がある部屋の道案内をされ地下に入り込んでから更に静けさが際立つ。


まるで俺1人以外に誰も居なく声も届かない独りきりの空間に放り出された様な静けさだ。


それにコレと言って幽霊の気配があんまり感じられない。全く居ない訳ではないけど、あんまり居ない様子だ。


『ここだよ。牧師さん。』


「有り難うお嬢ちゃん。」


『えへへ。牧師さん…』


「なんだい?」


『私…もう消えちゃうみたい…』


「そうみたいだね…」


すると彼女の周りから無数の光がサラサラと現れ始めた。どうやら彼女には、この世の未練が無くなったから自然と成仏をし始めたんだ。


『牧師さん。私が消えて悲しい?』


「悲しくなんかないよ。」


『そう…』


「でも寂しいかな?こんな可愛い女の子とお別れなんてね…」


『有り難う…牧師さん……もし…生まれ変わったら…私といっぱい……いっぱい……』


彼女は光の塵になり消えていった。どうか魂が安らぐ事を祈って…



「さて…あの娘も成仏出来たし開けてみようか。夢を見れる宝をね。」


「そうだな。もう悪霊は出てこないしな。お前のお目当てを見たら帰るぞ。」


「さてさて。お待ちかね億単位のお宝と御対面…ん?アレ?」


刹那がその部屋の扉を開けようとしたが開かない。何か刹那が押しても引いてもガチャガチャと音がするだけ。鍵が掛かってるようだな。


「もう何でこんな時に!!目の前に宝があるのに!」


「退いてろ刹那。」


宝を目の前に楽しみを邪魔されたかの様に不貞腐れた顔をしながらブツクサと文句を言う刹那に優しい俺が扉に向かって霊清銃を向ける。


そして霊清銃の引き金を3回引くと引き金を引いた数だけの純銀の弾丸が扉のドアノブの部分に当たる。


簡単に言えば鍵の掛かってる部分をブッ壊して、あとは扉を蹴り倒して一丁あがりだ。


「乱暴だのぉ~…」


「そうだよ。全然クールじゃないよ。」


「うるせぇよ。ほら扉が開いたぞ。」


俺は最初に部屋の中に入ったが暗くて何も見えない。それに頭が軽くクラクラするな。いったい全体なにがあるんだ?


俺はライターで火を点けて部屋を明るくするが正直ライターの火だけじゃ薄暗くてあんまりハッキリとは見えない。


「照明は…あぁコレかな?」


刹那が照明のボタンを押すと1つのランタンの形をした豆電球が部屋を明るくする。俺はライターの火を消して部屋の全体を見る。


「拍子抜けというか肩透かしを食らったな。」


「コレが夢を見れる宝なのかのぉ?」


「アレ~可笑しいな…こんなのが数億単位はクダラナイ宝なのかな?」


そう俺達が目にしているのはとてもじゃないが夢を見れる宝でも無ければ数億単位の価値があるとは言えない。彫刻のオブジェだ。


大きさは人の顔の大きさ程のまるで古代の西洋を思わせる男女の全裸の彫刻オブジェだからだ。



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