第3話 幽霊船

『ハナシテ…イタイヨ…』


「取り敢えずは拘束は出来たな。さてさてお嬢ちゃん。話を聞かせてもらおうか。」


『ダマレ…』


「ちっ…」


「まぁまぁ。ここは僕に任せて。」


話を聞き出そうにも彼女は話す気は更々ないし、ましてや俺に悪態をつくという可愛さが全くないガキに刹那が割ってはいる。


「どうするんだ?刹那。」


「ここは僕に任せて。少し待ってね。」


「勝手にしろ。」


俺は一旦、彼女から下がり刹那に一任し俺は刹那のやることを見守る形にする。


「お嬢ちゃん。」


『ヘンタイ…ペッ…』


彼女は悪口を言うだけでなく刹那の顔に向かって中々のサイズの唾を飛ばす。刹那は変わらず優しい笑みを向けながら彼女に近付く。


俺だったら絶対に霊清銃をブッ放して情報を聞き出すが流石ば聖人牧師゙アダ名の通りだな。


刹那は彼女の元に近付き膝を着く。


「君がもし生きていて大きくなって立派なレディーになっていたら僕は間違いなく君に一目惚れをしていたよ。」


『ウソダ…』


「嘘なんかじゃないよ。その長い髪、とても綺麗で素敵だよ。」


そして刹那は自分の右手で彼女の右の頬にそっと優しく手を添える。すると刹那は笑みを絶やさず彼女に優しい眼差しを向ける。


『ウルサイ…』


「照れた感じも可愛いじゃない。」


『ウ…バカ…』


「君に最初で最後の甘い時間を上げるね。」


『ナ…ナニヲ…』


そして刹那の右手は彼女の頬から口元に添えて親指で顎をクイっと上げて口付けをした。


一見。ただのロリコンが幼女に向かって強制わいせつをしている様に見えるけど、それには意味がある。


そう刹那は悪霊や怨霊に口付けをする事によって邪気や憎しみに恨みといった負の感情を浄化するみたいだ。本人曰く女限定だとか。


刹那と彼女の周りには甘い雰囲気が漂うが俺は今すぐにでもトイレに行きたい気分だな。気持ち悪り。



しかしこれも刹那の除霊師としての実力なんだろう。みるみると邪気が消えて悪霊の禍々しさも消えて、とても可愛いらしい西洋の人形みたいな女の子に変わる。


『有り難う…牧師さん。私を救ってくれて。』


「いや僕は君に口付けと言う甘い夢を与えただけだよ。」


『牧師さん…』


なんかもうアレだよな。さっきまでの悪霊が別人の様にキャラが変わってるよ。目が星みたいにキラキラしてるもん。


「そんでなんでお前は幽霊になったんだ?生前の事は覚えてるのか?」


『て…鉄砲のオジチャン…怖い…』


俺が彼女に色々と聴きたい事があるから質問してみると露骨に怖がりやがった。いったい何が起きたんだか…


「ほら烏間君。レディーが怖がってるじゃない。なんで君は幽霊になっちゃったんだい?それと死んじゃう前の事を覚えてるかな?」


『うん…覚えてる。』


「僕に話してくれるかい?」


『私…殺されたの。知らないオジサンにイキナリ…』


なるほどな。どうりで彼女は鉄砲つまり拳銃の類いを露骨に怖がりそしてトラウマいや、それ以上に嫌がる訳か…


そして彼女は話を続ける。


『私ね。パパとママと一緒に船のお出掛けしてたんだけど。あるときにね。パパとママとはぐれちゃって…パパとママを探していたらね。部屋のドアが開いていたからパパとママかと思ったら違う人で知らないオジサンだったの…そしたら゙マズイ!宝を見られだって大きな声で言われて…』


「そうか…それは物凄く痛かったよね。いーこいーこ。」


『うん…』


俺と刹那は今した話にハッとさせられている。お互いに表面上はポーカーフェイスをして素知らぬ顔をしている。だけど彼女はどうやら無理に成仏させないで正解みたいだった。


それは彼女が言っていだ宝゙だ。そう、夢を見れる宝。相場は最低でも億単位はクダラナイと言われている宝だ。



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