第3話 幽霊船
「そんな事もねぇよ。人それぞれだ。そう言うのは無いものネダリって奴だ。行くぞ。」
俺達は操縦室を後にして先を急ぐ事にする。ムカつく幽霊に問答無用で成仏させられないんだからな。刹那の聖書と違ってな。
俺達はあの後に色々と部屋を探し回るが手掛かりは一切なく、しらみ潰しにリッチ・ナイト号の中を探している。
「む~…何だか疲れてきた…」
「僕も。この船って広すぎない?」
「そりゃあ文字の意味のまんま豪華客船だからな。にしても刹那…」
「なんだい?」
「そのサンタクロースみたいに担いでる袋はなんだよ?」
「あぁ、これね。さすが元・貴族やセレブだよ。高い装飾品に置物にそのブランドのベルトから財布に時計。どれも価値のある物ばかりだよ。」
「あっそ…」
「相変わらず物欲の多い奴だのぉ…」
俺と斑は刹那の欲深さに呆れる他ない顔をしながら廊下を突き進む。そんで疑問が1つ。操縦室から白骨化した亡骸を見ていないんだ。
アレから色々と1つ1つの部屋とか給仕室やら船の動力室に行っては見たけど、どの部屋にも白骨化の亡骸が見付からない。
「ん?何か扉があるね。まるで会場とかの扉だね。」
「その様だな。だけど刹那も感じてるだろ?」
「まぁね。僕も開けるのが少し怖くなってるよ。」
「用心しろお前ら…この部屋の中から物凄い数の幽霊の気を感じるぞ…」
「取り敢えず開けない事には始まらないから開けるぞ。」
刹那はナイフを持ち構え、俺は霊清銃を片手で持ちながら扉をゆっくりと開けていく。
「「「…?!!」」」
扉を開けた瞬間に船に入ってから、あの死臭の臭いになれたはずなのに更に死臭と埃にまた違う何かが俺達の鼻腔を刺激する。
「なんだよ?コレ…」
「なるほどね。ここはパーティ会場だったって事ね。」
「鼻が馬鹿みたいにもげそうじゃ…」
「死体だらけじゃねぇかよ…」
「パーティーの最中だったのかな?」
そこは正にパーティーが行われていたのか座ったままの者。船の従業員だろうかBGMの生演奏中だったのか。ピアノやバイオリンにサックス演奏したまんま倒れ込んでいる。
あまりの死体の数に目も覆い隠したくなる。だけど違和感がある。何故なら床に血痕の後がないんだ。
死体は白骨化したまんま地面にただ倒れているだけ。ここで何が起きたんだ…?
ただ…幽霊の気配だけが更に強く感じる。それは敵意や殺意に近い皮膚を突き刺す様な気配だけが…
「取り敢えず調べてみようか。」
「うむ。」
「そうだな。」
俺は霊清銃。刹那はナイフ。それぞれ武器を構えて一歩、一歩とパーティー会場に慎重にまるで自ら地獄に入っていく様に。
『パパ…ママ……』
「…居るぞ。」
「うむ。居るのぉ…」
「確実に悪霊…だね…」
誰も居ないと言うと変だが俺達の他にあるのは白骨化した死体だけ…なのに幼い女の子の声が聞こえる。
『ドコ…?ドコニ…イルノ?パパ…ママ…』
その小さい女の子の特徴的な透き通る声がこの部屋の有り様と重なって何とも不気味さを増幅する。
「全く悪霊の野郎は何処に?!」
「確かに近くに居るのは分かるんだよね…」
「2人共!焦るな!焦りは余計の緊張を…」
『ワタシ…ココダヨ?…エヘヘ……』
「「「…ッ?!!」」」
俺達は後ろから声が聴こえてきた。だから振り向いた。そして俺は咄嗟の反応、いやクセと言って良いな。後ろに居ると思われる悪霊らしき奴に霊清銃を向ける。
『ネ?…ワタシ、イルデショ…?』
俺達は顔をしかめるしか無かった。確かに声が聴こえて振り向いた。そして振り向いた先には幼い女の子が居た。
そう…顔の半分はグチャグチャになり、もう半分は白骨化して口からは血を溢れ出す様に流した幼い女の子が…
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