第3話 幽霊船
「どう?烏間君も少しは夢を見れる宝に興味が出てきた?」
「宝には興味は出ないが、その言われる噂みたいのが気になるな。」
「相変わらず物欲が少ない割りには知識欲は大きいね。」
「まぁな。まず夢を見れる宝が本当にあるなら見てみたいね。夢を見れる宝。そして相場で億単位も価値があると言われ、選ばれた人でしか手に出来ない。そして選ばれなかった人が見れば死ぬってな…」
「ん~…なんでそこまで興味を持つんだい?普通に金銀財宝かもしれないのに。」
「それだよ。普通に財宝ならお前の言う『金銀財宝』って言えば良いのに、わざわざ『夢を見れる宝』って言う回りくどい事にするのか。そして選ばれた人と選ばれなかった人の差だ。」
「それは財宝じたいが夢やロマンがつまってるからじゃないの?選ばれた人と選ばれなかった人の差って言うのも何かゲームをして勝ち取るって言うのが相場じゃない?」
「なるほどな。」
でも…でも何かが引っ掛かる。確かに刹那の言う事に辻褄は通る。だけど、その理由は何なんだ?
「まぁ、それより今は身体をゆっくり休めて明日に備えようよ。ここは御飯とか地酒が美味しいし、温泉も源泉から引いて湯治としても有名な所だからさ。」
「お前ね…」
刹那はガイドブックを片手に何だか旅行気分な様子だな。コイツは本当に除霊の腕があるのは認めるだけどな…
そして、その後は長旅の疲れを癒すように俺達は温泉と御馳走を頂いて、そして夜。俺は煙草を吹かしながら外の景色を眺めてる。
「どうやら雨は降った様だね烏間君。」
「その様だな。それで霧が出れば幽霊船とご対面だな。」
「霧はほとんどの確率で出てくるよ。だからそこはご心配なく。それに明日は地元の人にお願いをしてもらって幽霊船の出てくる所まで舟を出してもらう事にしてあるから。」
「その辺は準備が良いなお前。」
「明日は早いしもう寝よう。」
「そうだな。」
翌日の朝。俺と斑と刹那で刹那があらかじめ頼んでおいた漁船で幽霊船が現れるポイントへと向かっている。
「ん~…確かに霧が出ているのぉ」
「確かに条件は揃ってるな。」
「でしょ?それよりそろそろかな。幽霊船のポイントは。」
霧が思っている以上に濃いためか視界が悪く辺りはモヤモヤとしている。今の所は幽霊の気は感知出来ていない。
「おい。牧師様達。あんたら本当にお化け船に乗り込むつもりか?あそこは本当に誰も帰ってこないで有名だぞ。」
「僕達の仕事はそのお化け船の正体を暴く事なので。」
「でも…」
「大丈夫ですよ。漁師さん。」
刹那があらかじめ頼んでおいた漁船の漁師さんは何やら本当に俺達を心配している様子だ。俺が見る限り漁師さんの周りにも幽霊船に乗り込んだ奴が少なくはないみたいだな。
「おい。アレか?」
「そうだ。お化け船だ。」
「へぇ。確かに豪華客船だね。」
「思ってたより綺麗だのぉ。」
どうやら刹那の言った通り夜に雨が降り、その朝に霧が出てあるポイントに豪華客船が現れる。それがまさに本当になった。
俺達は豪華客船の近くまで近付くと何か誰も居ないのに階段が船から降りてきた。
「へぇ。僕達を歓迎しているのかな?」
「どう考えても誘い込んでるだろ?」
「それより誘いに乗らないと何も解らないのぉ。」
豪華客船に見立てた幽霊船はまるで俺達を誘い込んでいる様に止まり見た限り無人だが確実に何か居る。
「有り難う漁師さん。では僕達はコレで。」
「き、気を付けるんだぞ!」
俺達は漁師さんの声にも振り向かず階段を上がり始める。まるで船から出てくる何かが吸い込まれる様に。
階段を上って行くと今まで感じなかった幽霊の気配がイッキに感じ始めてきた。
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