第3話 幽霊船

この色欲節操なし牧師は海女さんを下ネタ紛いの口説きをして年頃の娘を食い物にしようとして危ない所をやむ得なく発砲した。コレでコイツを御陀仏させる口実が出来た。


「やぁ…悠君って!!酷いじゃないか~いきなり僕に銃を撃つなんて。」


「うるせぇよ節操なし。年頃の娘を食い物にしようとしてたテメェから海女さんの貞操を守る為にやむ得なく発砲したんだ。」


「ってか本当にイキナリな挨拶だよね。悠君って!!」


「テメェに俺のファーストネームを呼ばれると何だかムシャクシャして発砲しちまう。発砲した事には反省もしていなければ後悔もしていない。」


「全く…烏間君っていつも僕の…アレ?海女さんは…」


「ふん。お前の言葉に貞操の危機を感じて逃げたんだろ。ざまぁ…」


「はぁ…折角の女の子が。」


刹那は肩をがっくしと落としながらも今度は真面目な顔をして話し出す。


「じゃあ、お仕事の話をしようかな烏間君。ここじゃアレだし宿を取ったから一緒に来てよ。」


「そうだな。」


それから俺と斑は刹那に連れて来られた宿は宿泊温泉で地元では有名な温泉宿だとか。コイツの事だ。きっと経費は協会持ちだろ。


そして女将さんの案内で俺、斑、刹那はとある一室に案内をされ俺達は部屋の中で話をするの事になった。


「わざわざゴメンネ悠…烏間君。」


「…」


俺が刹那に霊清銃を向けた事でファーストネームを呼ばれずに済む。


「本当は僕から来た依頼なんだけど仕事の内容からして僕1人じゃ厳しいから協会から助っ人を頼んだのさ。」


「はぁ…なんで俺がコイツと。」


「まぁまぁ。そう言わないでよ。烏間君は天城部長から聞いてるでしょ?」


「まぁな。乗ったら2度と帰ってこない幽霊船だろ?」


「ピンポーン。じゃあ話は早いね。」


「何でも夜に雨が降って雨が降った朝方に霧が出てくると幽霊船が現れるんだろ?」


「その通りなんけど。今月に入ってからは毎日現れてるみたいだよ幽霊船。」


「毎日?」


「そう毎日。まぁ、季節が季節だしさ。」


「梅雨の時期…」


「その通り。そしてこの地域は朝と夜じゃあ気温差も激しいし霧が出やすいんだって。そして今日の夜から雨が降るみたいだよ。」


「なるほどな。つまりお前としては明日にでも乗り込むみたいだな。」


「そうだね。それと地元の人から聞いたんだけど。どうやらその幽霊船には億単位の宝が積まれているみたいだよ。」


「なんでお前が知っているんだ?」


「それも地元の人から聞いたんだけど今から数十年前に世界を1周の旅行をしていた豪華客船がこの辺りを通ったんだってさ。そして、その豪華客船は一時停泊をして豪華客船の人達がこの町に降りてきてこう言ったらしいんだよ『この船には宝がある。しかも億単位はくだらない宝が』ってね。」


「つまり、お前が言いたいのはその停泊していた豪華客船と同じ形をした船が今回の幽霊船って言いたいのか?」


「さすが烏間君。頭は相変わらずキレッキレだね。でもね。その宝はまさに夢を与える宝で、宝の夢に取り憑かれて命を落とす。そして、宝を手にするのは、ほんの一握りの選ばれた人で、それ以外の選ばれなかった人が夢の宝を見ると……死ぬんだってさ。」


「お前…それが目的だろ?」


「だって夢の宝って凄いじゃない!夢を見れる宝。なんだか興味が沸かない?」


「沸かねぇな。俺は除霊を第一に考えてるんでな。」


「もう。そんな真面目過ぎるから女の子にモテ…何でもありません。」


俺は刹那に再び霊清銃を向ける事で黙らせた。コイツに俺がモテない事を言われると心の底から殺意が芽生える。


だけど引っ掛かるな。夢を見れる宝…それを手に出来るのは、ほんの一握りの選ばれた人で、もし選ばれなかった人が夢を見れる宝を目にしたら死ぬね…




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