第3話 幽霊船


【よう烏間。天城(あましろ)だ。】


「天城部長…」


天城部長。フルネームは天城 狛彦(あましろ こまひこ)。除霊師協会の部長で、除霊師協会の会長をトップにナンバー2の人が部長だ。


【烏間。ちょっとばかし仕事を頼みたいんだ。】


「仕事?わざわざ協会から直々に。どんな仕事ですか?」


【そうだな。ちぃっとばかり難しい依頼なんだよ。】


「それって相当難しい依頼何じゃないんですか?」


【ガハハハ。そう言うなよ。まぁ、真面目な話。これはお前だから頼みたいんだよ。】


「なんで俺なんですか?他にも腕のある除霊師が居るじゃないですか。」


【それもそうだが。お前、暇そうじゃん?】


「電話切りますよ?」


【わぁーッ!!嘘嘘!ジョークジョーク。】


「で?仕事の内容は?」


【あぁ。とある地域でよ゙お化け船゙って言うのが度々見掛けられる報告があってよ。】


「お化け船?」


【何でも雨が降った次の日に霧で覆われた海岸に突如として古びた豪華客船が現れるんだと。】


「その古びた豪華客船ってのが引っ掛かるんですけど。船の特定は出来ていないんですか?」


【そうだな。今の所は。それにお化け船と言われる理由だそうだが。何でも誤って乗り込んだ人間は帰っては来ていない。】


「随分と面白い曰く付きの話じゃないですか部長。つまり調査しようと船に乗り込んだから、船の特定が出来ていないんですよね?」


【その通りなんだよ。俺も困りに困ってな。それに地元の住民からこんな事を聞いたんだよ。】


「ほぉ…どんな話ですか?」


【古びた船なのに何かの魅力に取りつかれて船に乗り込んでしまう様な感覚になるってな。】


「これは何か幽霊が絡んでるのは確かですね。分かりました。協会からの久し振りの依頼を受けますよ。」


【これは助かるよ。烏間悠希。】



「ところで今回の依頼のギャラはそれなりに色をつけてもらいますよ。」


【相変わらずギリギリなんだな。良いだろ。あとそれとだ。協会からお前の他に刹那(せつな)と一緒にやる事にしたからな。】


「……は?」


【じゃあ、そう言うことで宜しく!】


天城部長ば刹那゙と一緒にやると言って俺に何かしらの弁解の余地もなく電話を切りやがった…


別に俺は他の奴と一緒に仕事をするのは嫌でも無いし、新人時代にはそれなりに一緒に仕事をしてきたから大丈夫だけど…


よりによって刹那かよ…


アイツとだけは性格が合わなくてな。なんて言うの?とにかく一緒に居るだけでイライラする感じ。


アイツはアイツで除霊師としての腕があるのは認める。だけどな…


女を見るなり見境なく口説き落とすのは止めて頂きたいもんだ!それにアイツは女にモテるから尚更ムカついてくるんだ。


「悠希。誰から電話だったんじゃ?」


「天城部長からだ。協会からの仕事だ。」


「おぉ!!協会からの仕事なら2、3ヶ月は贅沢が出来るぞッ!!」


「あぁ…」


「なんじゃ?そんな暗い顔をして。」


「刹那と一緒に仕事しろだと…」


「うげっ……あ、あの女ったらし牧師だと悠希も苦労するのぉ…」


「もう今から胃が痛くて仕方がねぇよ。」


「刹那・リベラル。父親がイギリス人。母親は日本人のハーフで母親がシスターの除霊師で父親は牧師をしている生粋の聖職一家。牧師の仕事をしつつ除霊師としての仕事もする。しかし牧師と言う職業とは……」


「博愛精神も無ければ道徳心の欠片もないやつだ。」


「やれやれ奴の節操なしや貞操観念があまりないのは除霊師協会の幹部も頭を痛めておるようだしの。」


「アイツ。この前、会った時なんかキャバクラで滅茶苦茶ぼったくられてたぞ。そして『良いんだ。ぼったくられても…それがお仕事なんだし…だって僕は……恋の奴隷だからね。』って言ってやがったな。」


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