第2話 思い出の物は取り憑く

そして翌日。除霊が完了したから俺は斑と幸吉とスッカリ元気になった泰代さんと物置に行き段ボールに人形を1体、1体に丁寧にしまっていく。


「ところで悠希。」


「ん?」


「本気でこの人形を引き取って家に飾るのか?私は嫌じゃぞ…不気味だしのぉ。」


「んな訳ないだろ。この人形は知り合いに人形館をやってる奴に引き渡すんだよ。」


「ほぉ…」


「それなら薄暗い物置より飾られていた方が人形も母も喜びます。」


幸吉さんは人形をしまいながら優しく微笑む。


「私はせいせいしていますよ。あの老害のせいで私は…」


「まぁ泰代もそう言うなよ。」


スッカリ元気になった泰代さんは悪態を付きながら段ボールに人形をしまう。


全部を段ボールにしまってから俺の車に載せるだけ載せて残りは宅急便で届けてもらう事にしてもらう。


「では私は帰ります。宅急便の料金はもちろん私が持ちますので、ご安心を。」


「有り難うございました烏間さん。報酬は私達にお金はあんまりございませんので……何か別の報酬で構いませんか?」


「もちろん。全然構いませんよ?」


「では私と主人で作った無農薬野菜を人形と共に送ります。烏間さん本当に有り難うございます。」

「いえいえ。こちらこそ新鮮な無農薬の野菜を有り難うございます。では、また何かあったらいつでも依頼して下さい。それでは。」


俺と斑は車に乗りエンジンを駆けて飯田さん宅を後にして走り出す。


後日。人形と報酬の無農薬野菜が宅急便で届けられ人形は知り合いに引き渡し無農薬野菜は美味しく斑と頂いた。


まぁ…ネギ類や薬味は斑には食えなかったが。


人形は人形館で綺麗に飾られているそうだ。

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